仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

情報分析のプロが「SMAP騒動の真相」を読む

客観的な報道が増えてきたでしょうか。

この事件は、芸能界の悪しき慣習を見直す契機になると同時に
マスコミの情報操作について考える機会になると思います。

政治経済関連の情報操作は、もっと悪質で巧妙に行われているのではないか
と思います。
それを考えるためのモデルケースになるのではないでしょうか。




情報分析のプロが「SMAP騒動の真相」を読む

東洋経済オンライン 1月31日(日)7時30分配信
 私は普段あまりテレビを見ないせいか、SMAPはもちろん、ジャニーズのタレントに興味を持ったことは、これまで一度もありませんでした。しかしながら、先日のSMAP解散危機の一連の報道には、私もさまざまな媒体の報道に目を通すこととなりました。それだけSMAPの存在感や影響力の大きさを、私自身が無意識ながらも認めていたということなのでしょう。そこで今回は、経済における情報分析のプロとして「SMAP騒動の真相」を解き明かしてみたいと思っております。

【詳細画像または表】

 私は経済の分析をする時、客観的な事実をベースにして、何が正しい(有用な)情報か、何が正しくない(有用でない)情報かを区別しながら、本質は何なのかを見極めようとします。その過程では、個人の願望や期待、不合理な要素などは、できるだけ省かれていく傾向が強くなっていきます。そうすることによって、経済の大きな流れを読み解くことができるようになるのです。

■ 騒動の大元となった記事と経緯

 本質という言葉を国語辞典で調べると、「そのものの根本となる、もっともたいせつな性質・要素」(三省堂国語辞典・第七版)と書かれています。しかし私が考える本質とは、そういった意味に加えて、昨今の不透明な時代では見通しにくい物事について、その「正解」「構造」「真相」といった意味合いを含んでいるのです。つまり、本質を見極めるということは、真相を解き明かすこととイコールなわけです。

 それでは、そもそもSMAP騒動の大元の原因はいったい何だったのでしょうか。

 それは、昨年1月29日号の『週刊文春』の誌上にて掲載された「ジャニーズ女帝メリー喜多川 怒りの独白5時間」という記事にさかのぼります。このインタビュー記事の中で、ジャニーズ事務所の副社長・メリー喜多川氏は、自身の長女である藤島ジュリー景子氏と、SMAPを育てた飯島三智氏が派閥争い、および後継争いをしていることについて問われています。

 派閥争いの真偽はともかく、後継者争いなど最初からなかったにもかかわらず(飯島氏も次の社長は一族のジュリー氏であることは分かっていたはず)、週刊文春の記者がそのようなことを聞くものだから、メリー氏はあたまに血が上ってしまったのでしょう。その場に飯島氏を呼びつけ、

 「飯島、私はこう言いますよ。『あんた、文春さんがはっきり聞いているから、対立するならSMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう。あなたは辞めなさい』と言いますよ」

 と言い放ってしまったのです。
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最終更新:1月31日(日)7時30分
東洋経済オンライン



刺激的な記事を書きたい週刊誌の思惑どおりに誘導されてしまった感が否めないものの、週刊誌という公の媒体上で、これまで事務所に最も貢献してきた飯島氏を辱しめてしまったわけですから、これだけでもメリー氏には経営者としての資質に大きな問題があったといえるでしょう。

 そればかりか、この取材をきっかけにしてメリー氏は飯島氏に「辞めろ」というパワハラを繰り返すようになったからこそ、飯島氏は「それならばスマップを連れて出ていこう」と腹をくくったのではないでしょうか。

 その結果、飯島氏が事務所側と正式に交渉することになり、飯島氏とSMAPの5人は円満に独立することが決まっていたのでしょうし、引受先のプロダクションも5人のメンバー全員であればという条件付きで決まっていたのでしょう。当然のことながら、SMAPという名前を使い続けるわけですから、独立後の権利分配についても詳細に話し合われていたのでしょう。

 ところが、なぜかメリー氏は話し合いで一回決まっていたことを「独立は認めない」とひっくり返し、木村拓哉氏もそれに同調して「ジャニーズに残る」と言い出してしまいます。感情をむき出しにして飯島氏とSMAPを追い出しにかかったものの、事務所の売り上げの4分の1を占める稼ぎ頭がいなくなるのは許せないという思いが噴出したのかもしれません。

■ 番組での公開謝罪はメリー氏に対するもの

 いずれにしても、メリー氏と木村氏が突如として翻意したために、飯島氏と他の4人のメンバーははしごを外されてしまったのです。そのために、引受先のプロダクションも態度を一変させ、5人で円満に独立するという計画は泥縄式に崩れてしまったわけです。

 今回のSMAP騒動の真相は、メリー副社長が娘を盲目的に愛するあまり、事務所にとって最大の功労者たちを追い出そうとしたこと、さらにはメリー氏と木村氏が一回決まった円満独立を反故にしたことでしょう。

 それにもかかわらず、ジャニーズ事務所は中居氏、香取氏、稲垣氏、草彅氏の4人に対して、フジテレビの番組の中で公開謝罪をすることを強要しました。これは、視聴者やファンへの謝罪ではなく、メリー氏への謝罪であったということは間違いないでしょう。飯島氏が週刊誌上で辱められたのと同様のことを、4人のメンバーがテレビ番組上でさせられたのです。


今回の騒動で明らかになったのは、ジャニーズ事務所の陰湿性と前近代的な経営が日本国民の前にはっきりと示されたということです。芸能事務所に「コンプライアンスがなってない」などというつもりは毛頭ありませんが、事務所の発展に貢献してきたSMAPに対する感謝すら微塵も感じられない冷徹な対応には驚くばかりです。

 なぜ、このような理不尽なことができてしまったのでしょうか。それは、マスメディアの報道がおおむね、ジャニーズ事務所にとって都合の悪い事実はすべて覆い隠し、一方的に事務所が正しいという流れに終始していたからです。

■ 真偽の検証をしない芸能メディア

 今回の騒動の真相は、スポーツ紙やテレビで報道されているように、飯島氏が秘密裏に独立を画策し、それに4人のメンバーが加わったという類の話では決してないだろうと思われます。ところが、大手メディアで流れている報道では、解散危機の原因はなぜか独立をしようとした飯島氏と木村氏を除く4人にあるといい、真相が大きくねじ曲げて伝えられていたのです。

 実に奇妙だったのは、ジャニーズ事務所の御用メディアであるスポーツ紙の報道に対して、他のマスメディアがその真偽を検証することなく、さも事実のように垂れ流し続けていたということです。テレビの報道の現場で、独自の取材をしたという形跡もあまり見られなかったということは、芸能メディアの暗部を見事にさらけ出していたように思われます。

 私たちはスポーツ紙やテレビでジャニーズ事務所の意向に沿った報道を見せられていたわけですが、そのような報道は真実を知りたい読者や視聴者を馬鹿にしているとしかいいようがありません。そういう御用メディアは、読者・視聴者の側に立った報道をしていないのですから、遅かれ早かれ、多くの読者・視聴者の離反を招くことになるのではないでしょうか