仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「円卓」    西加奈子   (文藝春秋)

主人公 小学三年生の女の子 こっこ(琴子)の視点で

家庭生活や学校生活を描いています。

 

こっこは非常に個性が強い女の子です。

頑固で自分の意志をはっきり持っています。

現実にいたら、学校では問題児扱いか

または発達障害にカテゴライズされるかもしれないような子です。

 

 

「みんながやってる」ことに価値を感じず

既成概念を疑いもなく受け入れるところはありません。

小学三年生にして、常に自我をしっかりともって

立っているすごい子です。

といっても、やっぱり子供ならではの思い込みもあるところが

かわいらしいです。

 

こっこの家族や級友、先生もさまざまな個性をもっており

その人物像がこっこの視点であざやかに描写されます。

 

 

 

こっこの幼馴染 ぼっさんは吃音のある男子で

こっこはその真似をします。

それはかっこいいと思っているから。

 

そのことについて、こっことぼっさんが話し合う場面では

「差別」について、ステレオタイプではない思考を

もつことができます。

 

 

 

特に印象に残ったのは

こっこの両親に新しい子供ができたことに

対する反応です。

こっこの三つ子の姉たちは無条件に祝福します。

しかし、こっこは喜びを見せません。

彼女の内心には「なぜ子供がうまれることイコール祝福すべきこと」なのか

という疑問があるからです。

 

確かに。

改めて考えると、無条件にそうあるべきなのでしょうか?

 

 

そんなこっこの内心をよそに、三つ子の姉たちは

「でも生まれたら(こっこは弟妹を)かわいがるわよね~」と

なごやかに暮らしています。

 

こっこのどきっとするような発言や思考に

考えさせられますが

暖かい愛情が底流にある

前向きな物語です。