「落窪物語」 [平安]
世界最古の継子いじめ物語のひとつだそうです。
ということは、世界中にこの手の話があるってことですね。
「シンデレラ」とかロシアの「森は生きている」とか。
それだけよくあるネタだったんですね
主人公は落窪(おちくぼ)の君と呼ばれるお姫様。
床が落ちくぼんだ部屋に住んでいるから、この名前
中納言の父を持ち、皇族出の生母は亡く、継母が生んだ姉妹が何人もいます。
継母は自分の娘だけをかわいがり、落窪の君をいじめます。父親は無関心。
姫君の唯一の味方は、阿漕(あこぎ)という女房(召使い)。
阿漕の縁で、素敵な貴公子 右近少将が姫君の恋人になり
通ってくるようになります。
継母の嫌がらせがエスカレートして、危機一髪の場面もありつつ、
姫君は少将の家に引き取られ、正妻として幸せに暮らすようになります。
通俗的なストーリーだけど、それだけに当時の社会の実情が
よく伝わってきます。
特に印象に残ったのは、少将の乳母の結婚への反応。
権勢のある親の後ろ盾のない落窪の君との結婚が気に入らず、
独断で有力な家の姫との結婚話を進めてしまいます(結局、少将は断る)。
乳母って、けっこう力を持った存在だったそうです。
‘継子いじめ物語’にはいくつかの典型的要素があるそうです。
・生母は高貴な血筋
・味方になる人物がいる。
・いじめのネタは家事労働(特に裁縫)
平安期ごろにはこの手の物語がごろごろしてたんでしょうか