仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

本/古典文学

「芭蕉全句集」  松尾芭蕉    [角川ソフィア文庫]

古典作品を収録している文庫は何社かあります。 代表格はやっぱり岩波文庫。 まずはここの棚を探します。 原文に近い形で本になっていて 格調高く、信頼感があります。 しかし、 原文をそのまま収録しているということは 説明がないということ。 歌集なら何…

「平家物語  あらすじで読む源平の戦い」  板坂耀子 [中公新書]

副題の通り、平家物語をあらすじで知ろうという本。 古典文学の中でも、平家物語は親しみを覚えない作品でした。 戦いばかりで、暗そうで。 最近は、興味がわいて読んでみようかという気にもなっていたのですが いかんせん長い。 なかなか手をつけられません…

「宇治拾遺物語・十訓抄」  小学館

「日本の古典をよむ」というシリーズで 原文と現代語訳が交互に載っています。 本の概容や成立の歴史的経緯などが説明されていて 長い作品は、全文ではなく一部選ばれた文章が載せられています。 古文の勉強として読むのに良いシリーズだと思います。 「宇治…

「更級日記」   菅原孝標女

平安時代の日記文学の一つ 改めて読んだら意外とはまりました。 蜻蛉日記、和泉式部日記みたいに、 男女の愛憎どろどろ話ではないので、うんざりしません。 元文学少女同士の共感もあります。 小市民の地味な女性の平凡な人生を淡々と語っているという感じで…

「大和物語」

平安時代の歌物語 伊勢物語の影響を受け、 そして源氏物語に影響を与えているそうです。 実在の貴族、天皇が登場するので 歴史に興味ある人にもいいかも。 平安文学をいくつか読んでみるとわかるのは 相互に影響を与え合ってるということ。 同じ歌がいくつも…

「呂氏春秋」  町田三郎 訳注  [講談社学術文庫]

呂不偉は、中国の秦の始皇帝が若いころの宰相。(その後、失脚) 「呂氏春秋」は、呂不偉の全盛期に、国に招いていた多数の学士の 識見や学説をまとめたもの。 だから内容的には、多種多様というか統一感がないというか。 たいてい思想書は一つの結論、主題…

老荘思想

書名でいうと「老子」「荘子」 儒教と対照的な立場にある思想です。 老子は、「無為自然」を根本の立場とするとのこと。 何冊か関連の本を読んでみましたが 今の私にはミスマッチな感じで 読み流してしまいました。 まだまだ人生現役なので 世捨て人の心境に…

「大学」   宇野哲人 全訳注  [講談社学術文庫]

序文より この書物は、儒教の政治思想の根幹を極めて要領よくまとめたものである。 原稿用紙4枚ちょっとという短い文章にもかかわらず 飽きました 「校長先生のお話し」みたいな、えらい人のつまんない長話って感じです。 政治思想なんて、あっしには関わり…

「中庸」  宇野哲人 全訳注  [講談社学術文庫]

7中国の儒教の書物のうち、もっとも重要とされる 四書五経(論語、大学、中庸、孟子/易経、書経、詩経、礼記、春秋)の一つ 孔子の孫である子思の著作であると言われています。 「中庸」という言葉は私の座右の銘です。 もっとも日本で慣用句的に使われて…

「孟子」    講談社学術文庫    貝塚茂樹

「孟子」は、中国古典の四書の一つ 孟子という人物は孔子と並ぶ賢者と称され、合わせて「孔孟」と呼ばれる。 書「孟子」は孔子の「論語」と同様に、孟子の言行録となっている。 この本は 1章 孟子思想の時代背景 2章 孟子の人と思想 3章 「孟子」という著…

角川ソフィア文庫 ビギナーズクラシックシリーズ 「新古今和歌集」

角川文庫の教養版から出ています。 最近はどこの会社も、普通の文庫とは別にこういう路線をたてているのかな。 「ビギナーズクラシック」シリーズということで かなり幅広く出しています。 日本・中国の古典の有名どころは網羅している感じ。 「新古今和歌集…

「平成歌合 新古今和歌集百番」  上野正比古  [角川フォレスタ]

歌合(うたあわせ)とは、平安期などに行われた、 和歌二首を比べて勝敗を判定する遊びのこと。 この本は、新古今和歌集の歌と、対になる作者の自詠歌とで 勝敗を判定するというおもしろい設定になっています。 判定をするのは読者で、答えを書き込んで集計…

「源氏物語の色辞典」 吉岡幸雄  [紫紅社]

源氏物語に登場する衣装を、プロの染織家が再現した写真集 可能な限り、当時と同じ原料を使って製作したそうなので 本物の雰囲気が楽しめます。 平安期の色目が載っている色辞典はよくありますが、布地や染料が今のものだと イメージが違ってしまいます。 源…

千利休の言葉

茶道 千家の始祖 千利休の言葉はいろいろ残されています。 ○四規七則 四規 和 敬 清 寂 七則 茶は服のよきように点て 炭は湯のわくように置き 夏は涼しく冬は暖かに 花は野にあるように 刻限は早めに 降らずとも雨の用意 相客に心せよ 茶道に限らず、日常生…

「土佐日記」  紀貫之   [平安時代]

紀貫之は、古今和歌集の選者の一人で「仮名序」を執筆した。三十六歌仙の一人。 「土佐日記」は、 紀貫之が国司の任期を終えて、土佐から京まで帰る五十五日の船旅の様子を綴った日記文学。 文章は女性のふりをして仮名文字で書いている。 当時社会的地位が…

「古今和歌集」      [平安時代]

最初の勅撰和歌集で、日本三大和歌集(万葉集・新古今和歌集)の一つです。 全二十巻、約千百首収録 平安の貴族にとっては必須の教養で、「源氏物語」もこの歌集なしには成り立たないそうです。 確かに古今集の中のたくさんの歌が物語中に織り込まれているよ…

「古事記(コジキ)」     [奈良時代]

日本史上、もっとも古い文献です。 日本の国の成り立ちから、第三十三代推古天皇までの皇統の記録を記した書。 神話として語られており、種別としては歴史書というよりは物語と呼んだ方が良いでしょう。 集英社の「田辺聖子の古事記」で読みました。 感想を…

「今昔物語集」   [平安?]

短い物語を集めた説話集 全31巻で、1000余りの物語が収録されている大作 日本・中国・インドを舞台とした巻がそれぞれある 内容は大きく分けて、仏教説話と世俗説話 「今は昔~」という冒頭が有名 長い作品なので、現代語訳の本は選りぬいた話だけをま…

「とりかえばや物語」

平安大貴族の娘と息子が性別を取り違えて成長し、苦労の末に本来の性に戻り 栄達し幸せに暮らす、という奇抜な物語。 氷室冴子さんが「ざ・ちぇんじ」というタイトルで小説化し、 それをさらに竹内直実さんが漫画化しています。 氷室さんはさすがに少女向け…

「方丈記」 鴨長明  [鎌倉]

日本三大随筆の一つ (枕草子、徒然草) 改めて読んでみたら 短い作品であることに驚きました。 そして、内容が 暗い・・・ ひたすら暗いんです。 有名な冒頭文で 「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、 かつ消えか…

「枕草子・蜻蛉日記・和泉式部日記」  [平安]

三作とも、平安時代の女流散文文学です。 現代の作品でも女性のエッセイは苦手なのですが 古典でも同じでした 同性ゆえか、女くささが鼻についちゃうんですよね~。 「枕草子」は清少納言の随筆 冒頭の「春はあけぼの、やうやう白くなるゆく山ぎは・・・」の…

「落窪物語」   [平安]

世界最古の継子いじめ物語のひとつだそうです。 ということは、世界中にこの手の話があるってことですね。 「シンデレラ」とかロシアの「森は生きている」とか。 それだけよくあるネタだったんですね 主人公は落窪(おちくぼ)の君と呼ばれるお姫様。 床が落…

松尾芭蕉 「おくのほそ道」  [江戸]

もっとも有名な俳人の一人 松尾芭蕉の 俳諧紀行文 東北~北陸の旅の様子を俳句を取りまぜて記している文章です。 冒頭の文が有名です。 月日は 百代 ( はくたい ) の 過客 ( くわかく ) にして、行きかふ年も 又 ( また ) 旅人なり。 舟の上に生涯をう…

「留魂録(リュウコンロク)」  吉田松陰   [幕末]

江戸幕府末期の安政の大獄事件において 死刑に処せられた吉田松陰(ヨシダ ショウイン)が 処刑の前日に門下生たちに向けて書いた書面(遺書)です。 私は 講談社学術文庫 「吉田松陰 留魂録」 古川薫 で読みました。 吉田松陰は、長州藩士で名高い思想家・教育者で…

小倉百人一首

おそらく、最も有名な 古典和歌集です。 「百人一首」でピンとこない方でも、ぼうずめくりのカルタといえば 思い出すのではないでしょうか。 百人一首とは、百人の歌人の和歌を一首ずつ選んでまとめた アンソロジー和歌集です。 選んだのは藤原定家という鎌…

「風姿花伝(フウシカデン)」  世阿弥  [室町時代]

能楽の大成者 世阿弥(ゼアミ)の最初の伝書。 世阿弥の能楽論をまとめた書物。別名「花伝書」 観阿弥は世阿弥の父 岩波現代文庫 「古典を読む 風姿花伝」 馬場あき子著 で読みました。 歌人の馬場あき子さんは、能楽の信奉者として世阿弥をたたえる論調で書い…

源氏物語絵巻

東京の五島美術館で開催中の「国宝 源氏物語絵巻 展」に行ってきました。 十二世紀に描かれたもので、文章を筆で書いたページとその巻のある場面を絵に描いたページが 交互に続きます。 教科書によく載っているボロボロの絵です。 今回の展示では現存してい…

「源氏物語の花」  青木登   [けやき出版]

1500円です。 源氏物語を、花の姿からイメージしようという本。 物語の通りに一帖ごとに進んでいき、花の写真に合わせてあらすじが語られています。 時折、原文や歌の引用もあります。 花の解説には源氏以外の書の引用もあり、雅な雰囲気が楽しめる本で…

「『源氏物語』の男たち」・「『源氏物語』男の世界」 田辺聖子[岩波書店]

「源氏物語」の現代語訳を執筆した田辺さんが 男性キャラクターを一人ずつ取り上げて、論じています。 『男たち』では光源氏と夕霧、 『男の世界』では薫、桐壺院、頭中将、朱雀院についてです。 「源氏物語」の女性キャラクターを取り上げた本はたくさんあ…

「万葉集」 ②

万葉集 パート2です。 今度は 「万葉ロマン紀行」 偕成社 文:吉野正美 写真:藤田 浩 という本からです。 この本も各歌に写真が添えてあります。 知識的なことを解説するより、歌の内容や雰囲気をわかりやすく伝える、という方針の本なので 「古典文学」と…