仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

『斉藤さん』 小田ゆうあ

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
集英社女性誌「office YOU」に連載中の

親育てマンガ

テレビドラマにもなりました。
 
 
主人公は、幼稚園児の息子 潤一をもつ主婦
斉藤さん
正義感が強く、曲がったことは許せず行動に移す
タイプのため、周囲と衝突することが多い。
 
潤一と同い年の息子 を持つ真野さんが
親友。
 
最初、潤一くんは幼稚園児でしたが、現在では小学校高学年にになり、妹の笑ちゃんも生まれました。
 
 
潤一や尊の幼稚園・学校生活を中心に子供を見守る親の成長を描く熱血育児マンガ
 
 
育児マンガなのですが、主題は子供の成長ではなく、親の成長です。
 
 
 
 
 
現在実社会で問題になっている、子育てをめぐるいろいろなトラブルが取り上げられています。
いじめ、ゲーム、携帯電話、青少年の非行、学校行事における参観保護者の問題行動、
育児放棄児童虐待などなど。
 
われらが斉藤さんは、いつでも体当たりで傷だらけになりながら
問題に真正面から取り組んでいきます。
うちの町内にも斉藤さんがいてくれたら、と夢見てしまうヒーローです。
 
でも、斉藤さんは「ごくせん」のような現実にはありえないヒーローではありません。
マンガですからトラブルが発生しても最後には解決に向かいますが
特殊な力を持つ誰かが現れて救ってくれるのではなく、斉藤さんの行動をきっかけとして
みんなの気持が変わり、それが行動に表れていくからなのです。
 
 
斉藤さんは理想的な母親ではなく、欠点や失敗も多いです。
潤一くんがいじめにあったりとすごく苦しい状況に追い込まれた時もありますが
決して問題を誰かのせいにして逃避しようとすることはなく
「自分はどうあるべきか」という視点がゆらぐことはありません。
 
おきれいな理想論を語るのではなく
現実を見つめながら前向きに進もうとする主人公(作者)の姿勢にとても共感します。
 
 
斉藤さんの夫は海外単身赴任中のため、通常は母子二人暮らしで
斉藤さんが一人で家庭を仕切っていますが、
ラブラブ夫婦で旦那の前では斉藤さん、とってもカワイイんです
 
 
 
今連載中の話では、乳児を持つチャラいヤンママが育児に煮詰まり、虐待しかかっています。
彼女は自分の状態が深刻なことを自覚しており、
役所の育児相談や育児サークルに通ったり、夫に子供を頼んで出かけてみたりと
解決策を探してはいますが、お決まりのアドバイスは彼女の胸に届きません。
 
そんな時斉藤さん、真野さんと一日を過ごした彼女は、気持がほぐれていくのを感じます。
そこで彼女が述懐した言葉がとても印象に残りました。
   「アタシは今まで、努力やガマンをしたことがない。
    つらいバイトはやめちゃったし、かったるくなればどこでも座り込んだ。
    それなのに、ガマンのかたまりの育児ができる訳ない。」
 
 
 
育児に悩みのある方に是非おすすめしたい作品です。
というより、子育て・親育てに関心のある方すべてといった方がいいでしょうか。
子供がいて育児に悩みをもったことのない人がもしもいたら、その方が怖い・・・(笑)