仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

『キス&ネバークライ』  小川弥生  [講談社]

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講談社女性誌「Kiss」に連載していた
アイスダンス(フィギィアスケート)+サスペンス漫画です。
10巻で本編は完結ですが、さらに番外編が出るそうです。

作者は「君はペット」を書いていた方。
モモ(合田武志)が時々出てきますよ~。
タイトルは、キス&クライ(選手が演技後、得点が出るのを待っている席)から
とったようですね。 

 

○中心人物は3人

・みちる=両親は元アイスダンス・ペア選手。幼いころはアメリカ在住、フィギィアの英才教育を受ける。
      小さい頃に実父は亡くなり、大手スポーツ用品会社社長の義父がいる。

・晶(ヒカル)=兄の駆(かける)もスケーターで、アメリカのみちるの所属するリンクでコーチをしていたが
         何者かに殺される。
         アイスダンスのパートナーと別れた後、高校生のみちるにペア結成を申し込み、
         ともに世界を目指す。

・礼音(レオン)=みちるのアメリカでのおさななじみ。初恋の相手のみちるが帰国した後も
          思い出を大事にしていた。ダンサーとして就職し日本で暮らすことになり、みちると再会。
          振り付けでみちるペアに協力する。


 
○ストーリーの柱は二つ

アイスダンス・ペアとしての成長
 
  みちると晶はケンカしつつも信頼関係を深めていき、演技を熟成させていきます。
  浅田真央ちゃんのロシア人コーチに激似のダンドワコーチのキャラが楽しい。
  試合のシーンは衣装も華やかで、迫力あって楽しめます。

  晶の古女房?の真澄お姐さんが好きです。

 
・サスペンス(ミステリー)としての展開
  みちるはアメリカ時代に誘拐され記憶を失います。
  その事件には晶の兄の死も関わっているらしい・・・。
  
  事件の解明が進むにつれ、みちるや晶のトラウマが掘り起こされていきます。 
   



私はフィギィアではアイスダンスが一番好きなのですが、
日本は強くないので放映が少なくて残念です。

だから演技シーンを楽しみにしているのですが、
サスペンス部分には、児童虐待、性犯罪、殺人、トラウマなどが関わってくるので
気持ちがくらーくなるのがキツイなあ・・・。
とそんな私の弱気をつくような展開がクライマックスでは待っていました。
過去の事件が公になった時、みちる・晶ペアはスキャンダルを嫌うスケート協会から
オリンピック出場をあきらめるように圧力をかけられます。
 
そのため、みちるは記者会見を開き、過去を自分の口から公表します。
参列した記者から「なぜあえてこのような会見を行ったのか?」と問われ、みちるは答えます。
 
 「(性的虐待を受けたのは)自分だけが特別だと思っていた。でも本当は自分のように誰にもいえずに
  苦しんでる子はたくさんいる。人に見られる立場の自分が公表するからこそ、いろいろな人に
  このことについて考えてもらえる。
   だから私を見て、もしいやな気分になったとしても、わたしから目を背けないでください。」
 
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このペアにとって最後のオリンピック・シーズン・シリーズの演技では「レクイエム」という曲を選び、
みちる・晶・礼音の三人ですばらしいダンスを作り上げます。
 
オリンピック出場を決める最後の大会で
二人は会心の演技を決め、死者を弔い、自分達の心の傷を昇華させます。
 
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みちるは、トラウマをのりこえ礼音との交際をまっすぐに認められるようになり、
子供のころの曇りのない笑顔を取り戻します。
 
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