仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「千夜一夜物語」   [アラビア語]

中世イスラム世界でまとめられたアラビア語の説話物語集
アラビアンナイト」という別名がある。
 
 
シャーラザッドという女性が千夜かけて語ったという膨大な物語。
なんでそんな設定なのかというと
女性不信の王様が、女性と一晩寝て翌朝処刑するということを
繰り返していたのをやめさせるため。
おもしろい話を途中まで聞かせて、次の夜までひっぱるという作戦。
 
 
王様はなぜ女性不信になったかというと
妻である王妃が、王の留守中男遊びを繰り返していたから。
その前段階として、王の弟も同じ目に遭っていました。
 
その辺の描写がかなり露骨でびっくりしました。
子ども向けの「アラビアンナイト」では割愛してあったんだろうなあ。
物語の中にもその手の話がけっこう多いです。
日本の古典物語で、そういうのは珍しいですよね。
やっぱり文化が違うらしい。
 
 
こんなに長い物語集なのに、違う話が続いていくのがすごいです。
それにしてもアラビア人はよくしゃべる(笑)
設定からして一人の女性が語り続けるんだし、
物語の中でも、登場人物がよく語ります。
 
シャーラザッドが語った。「商人は語りました。「私は昨日出会った老婆から聞きました。「・・・・・」」
 
という感じで物語の中の登場人物がさらに物語を語りだし、
まるでマトリョーシカ(いりこ人形)のように物語が重なっていくんです。
相手もよく話を聞くんですよね~。
 
 
それから会話の中に普通に詩が出てきます。
普通の人がその場で詩を作って朗詠するんです。
 
 
魔神とか出てきておとぎ話っぽくて楽しいです。
けっこう残酷な話もあるけど。
 
千夜、読み通すのはできませんが
一巻くらいなら楽しく読めると思います。