仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

本/フィクション:外国文学

「日の名残り」  カズオ・イシグロ  (早川書房)

ノーベル文学賞をとったカズオ・イシグロ氏の作品です。 原題は「THE REMAINS OF THE DAY」 感想を一言でいうと 「さすがノーベル賞」 面白くて読む手を止めたくないほどだったし 良く出来ている作品だと思いました。 ノーベル賞というと難しくてつまらない…

「春にして君と離れ」   アガサ・クリスティ   [ハヤカワ文庫]

アガサ・クリスティですが、小説ではなく文学の書庫に入れました。 クリスティは、実はミステリーではない作品も書いているんですよね。 この作品は作者としても一番気に入っているものだそうです。 読むとなるほどと思いました。 女性向きです。 私はこの邦…

「アンの想い出の日々  上・下」  モンゴメリ    [新潮文庫]

10代の愛読書ナンバー1は、「赤毛のアン」シリーズ というアンフリークの私ですが、 シリーズ11作が出版されていたことは知りませんでした。 10巻「アンの娘リラ」で終わりかと思っていました。 第一次世界大戦が勃発から終戦までの話で アンの三人の…

「A Christmas Carol」    Charles Dickens    [IBCパブリッシング]

英語学習者向けの英語本「ラダーシリーズ」より 英語学習のための英文書シリーズはいくつかあって 形式もさまざまです。 逐語訳が併記されているもの、単語・熟語ごとに日本語訳が併記されているものなど。 私はこのシリーズの形式が好きです。 日本語訳の記…

「千夜一夜物語」   [アラビア語]

中世イスラム世界でまとめられたアラビア語の説話物語集 「アラビアンナイト」という別名がある。 シャーラザッドという女性が千夜かけて語ったという膨大な物語。 なんでそんな設定なのかというと 女性不信の王様が、女性と一晩寝て翌朝処刑するということ…

「じゃじゃ馬ならし」   シェイクスピア   [イギリス]

シェイクスピアの作品としては、小品の喜劇短編 つむじまがりの乱暴者で、嫁のもらい手がなく父親がもてあましていた娘カタリーナを 骨太な男性ペトリーキオが調教して従順な妻に仕立てる というフェミニストが頭から湯気をだして怒りそうなお話し。 私はジ…

「ベニスの商人」   シェイクスピア  [イギリス]

悪役シャイロックが有名なドタバタ劇。 主要登場人物は ベニスの商人アントーニオ、アンドーニオの友人バッサーニオ、 バッサーニオの婚約者で財産家のポーシア、ポーシアの侍女ネリッサ とんち問答や謎解きがちりばめられていて、いろいろと楽しめる作品。 …

「リア王」  シェイクスピア    [イギリス]

四大悲劇のひとつ。 年老いた王様が引退するにあたり、 財産(領土)分けをすることにして、 三人の娘に「父への孝心に比例した分だけ領土をやる」といって 腹黒の姉二人のちゃっかりだまされ、 誠実な末娘コーディリアを勘当してしまうが すぐに後悔する、…

「ハムレット」  シェイクスピア  [イギリス]

いくつものセリフが慣用句になっているほどの名作。 「生か、死か、それが問題だ。」 「尼寺へ行け」 など、物語の中で改めて目にすると、「おおっ」と思いました。 ハムレットといえば、マザコンの軟弱王子様というイメージでしたが やっぱりそうでした 冒…

「ディケンズ短編集」   [イギリス]   岩波文庫

「クリスマス・キャロル」のディケンズの短編集 怪奇幻想的な作品を集めています。 「墓堀り男をさらった鬼の話」「信号手」「チャールズ二世の時代に獄中で発見された告白書」など 11編収録 「墓堀り男・・」は「クリスマスキャロル」の原版的短編。 お勧…

「オセロー」  シェイクスピア [イギリス]

シェイクスピアは、その作品名もあわせて普通名詞同様の扱いを受けるくらいの大劇作家 16世紀前後のイギリス 「オセロー」はボードゲームの名前の元になっています。 ヒーローが黒人(?)、ヒロインが白人であることから来ているそう。 戯曲形式でしたが…

「谷間の百合」 バルザック  [フランス]

19世紀フランスを代表する小説家バルザックの代表作 清水義範氏の「独断流読書必勝法」で評されているのを読んで 興味を持ちました。 読み終わって「なるほど~」とうなずきました。 けっこう長い作品で、文章も長い。 修飾過剰な美文が延々と続きますが …

「桜の園」   チェーホフ   [ロシア]

小説ではなく、戯曲(演劇の脚本) 古典的名作。 主人公は没落貴族の一家。女主人やその娘たち、そして使用人や周辺の人々が登場人物。 社会状況の変化に対応することができず、 領地を手放し、先のわからない生活に入る所までを描く。 太宰治の「斜陽」を思…

「田園交響曲」  ジッド  [フランス]

明治のころの、わりと短い小説 主人公の牧師は身よりのない少女を引き取る。彼女は盲目で、ヘレン・ケラーのように教育を受けていない状 態だった。美しく知性的に成長した彼女のため、牧師やその妻・息子は大きく影響を受ける・・・。 キリスト教の信仰をテ…

「はつ恋」 ツルゲーネフ  [ロシア]

ツルゲーネフは19世紀ロシアの代表的小説家の一人。 「はつ恋」は彼の代表作。 主人公ウラジーミルは16歳の貴族の少年。隣家に引っ越してきた年上の美しい女性ジナイーダに 恋をする。しかし、ジナイーダは複数の崇拝者男性をはべらせて楽しむような奔放…

「異邦人」  カミュ  [アルジェリア・フランス]

カミュの処女作で代表作 主人公ムルソーは、母の死に対してまったく感情的な動揺を見せず、翌日女性とデートしたりした。 そして特別な動機なく人を殺害し、死刑になる。 不条理文学の代表と言われる有名作品。 「不条理」とはなんなのか、文学論的には定義…

「悲しみよ こんにちは」  フランソワーズ・サガン  [フランス]

1954年発表のサガンの処女作で、世界的なベストセラー 主人公セシルは17歳の少女。母は亡く、父との二人家族。 父レエモンは享楽的な性格の魅力ある男性で、若い女性とのラブ・アフェアをくりかえしていた。 セシルと父は仲良しで、共に奔放な生活を楽…

「MOTHER GOOSE マザーグース」  [英米]

講談社英語文庫、760円 このシリーズは洋書を安価で手に入れられて便利です。 本屋の近くの棚にあった、輸入洋書のペーパーバックを見ると 日本の製本技術は優秀だなと思います。 マザーグースは英語の童謡集 英米人にとって必須教養で、聖書やシェイクス…

「クリスマス・キャロル」  チャールズ・ディケンズ [イギリス]

文豪ディケンズの有名なクリスマス・ストーリー 1873年に出版 ロンドンの商店主のスクルージは、守銭奴、冷酷、利己主義、強欲、人嫌い、偏屈と誰に聞いても 悪い評判しかないクソジジイ。誰もがやさしい気持ちで幸せな一日を過ごすクリスマスの日にも、…

「外套 / 鼻」  ゴーゴリ [ロシア]

ニコライ・ゴーゴリは1800年代前半のロシアの小説家 その後のロシア文学に大きな影響を与えた人物 この二編は、ロシア文学の名作にしては珍しく短篇です。 芥川龍之介の短篇を連想させます。(芥川の方が後ですが) 「外套 (ガイトウ)」 外套は要するにコ…

「変身」 カフカ 〔ドイツ・チェコ〕

1910年代(大正期)の、実存主義の先駆をなす傑作といわれる文学です。 人が虫に変身する話なのですが、SFでもファンタジーでもありません。 冒頭の文を引用します。 ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で…