『残酷な神が支配する』 萩尾望都 [小学館漫画文庫]
萩尾望都さんの作品が高尚で哲学的で
娯楽としては読みにくいものが多いですが、
この作品は特にシビアです。
舞台はイギリス・アメリカ
母親の再婚のため、義父の屋敷で暮らすことになった少年ジェルミ。
義父グレッグから毎夜、性的虐待を受ける。
愛する母サンドラに話すこともできず、追いつめられたジェルミは
グレッグを殺すため、自動車に細工をするが
同乗したサンドラも一緒に死なせてしまう。
罪の意識に苦しみ、身を持ち崩していくジェルミを
義兄イアンはなんとか助けようとするが・・・・
心に深刻な傷を持つ登場人物だらけで、社会の最底辺の姿が描かれたりもします。
自分が弱っている時には読まない方がいいかも。
自分が弱っている時には読まない方がいいかも。
ラスト間近で、主人公ジェルミが真情を吐露する場面が印象的です。
子供を親に育てさせちゃいけないんだ・・・!
だって親って愛と暴力で支配するじゃないか。そして子供は暴力を学んでしまうんだ。
親の感情に引きずられ支配され呪いをかけられてしまうんだ。
親自身がかかえてるトラウマをそっくり子供はおしつけられるんだ。
親は子供にとって人間じゃない。神だよ!
昔、三歳児神話(三歳までは母親がつきっきりで子供を育てるべき)について
否定的な考えを持ちましたが
理由の方向性はこれに近いです。
どんな親でも完璧ではないので、より多くの大人が関わる方が
子供の成長にとってバランスの良い影響が与えられるというのが
私の考えです。