七月の歌 ‘古今和歌集より’
暮るるかとみればあけぬる夏の夜を あかずとやなく 山郭公 みぶのたたみね
連葉の にごりにしまぬ心もて なにかは露をたまとあざむく 僧正遍昭
ちりとだにすゑじとぞ思ふ 咲きしより 妹とわが寝るとこなつの花 みつね
夏なれば宿にふすぶる蚊遣火の いつまでわが身したもえをせん
逢坂の関にながるる石清水 いはで心におもひこそすれ
あけたれば蝉のをりはへなきくらし 夜は螢のもえこそわたれ
夏虫の身をいたづらになす事も ひとつ思ひによりてなりけり
よひのまもはかなく見ゆる夏虫にまどひまされる恋もするかな 紀友則
かれはてん後をば知らで 夏草の ふかくも人の思ほゆるかな 凡河内みつね
わがうへに露ぞおくなる 天の川とわたる船のかいのしづくか