仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

鳩サブレー と ノブレス・オブリージュ

夏前に鎌倉の海岸の命名権を、鳩サブレーで有名な老舗和菓子舗 豊島屋が落札しました。
 
 
私は公共施設の命名権売買には反対です。
武士は食わねど高楊枝というように
お金で売ってはならないものがあると思います。
 
財政破綻レベルの自治体であれば
やむを得ないとも思うのですが
鎌倉市はそうではないでしょう。
 
全国的にも有名な観光地で
著名人(税金を多く払える)の居住者も多いはず。
 
世界遺産の登録を目指すことと
どんな名前をつけるかもわからない企業に公共の名称を売り払うことが
矛盾しているとは思わないのでしょうか。
 
 
 
命名権を取得した豊島屋の社長は
鳩サブレー海岸にはしない」とのこと。
名前は公募で決めるそうです。
そのためこの夏は従来の名称でいくとのこと。
(今年の分の料金は市への寄付ってことですね。)
 
自社の宣伝のために命名権を得たのではなく
「鎌倉のため」だそうです。
 
きっと品のない名称で鎌倉の海岸が呼ばれることを
しのびなく思われたのでしょう。
 
 
 
 
 
 
ノブレス・オブリージュ」というのは欧米の価値観で
身分や地位の高い者は社会へ奉仕する義務がある、という考え方のことです。
 
災害が起こると、欧米の著名人は争うように寄付をしますね。
日本の企業も一昔前まではそういう意識を持っていたものですが。
明治や昭和の財界人の記録を見ると、立派な人物が何人もいます。
 
今では社会奉仕はおろか、
本業における職業意識や企業倫理さえもおぼつかない。
ブラック企業の元会長が国会議員になる世の中ですから。
 
 
 
 
 
 
そんな中、豊島屋さんのなさったことには心が洗われます。
 
歴史と伝統のある鎌倉。
その鎌倉土産といえば鳩サブレー、というくらいの老舗です。
さすが一企業の長にとどまらない見識を持ってらっしゃるんだなあ
と敬服しました。
 
鎌倉は地元で、子供のころからおなじみの場所も多いです。
鎌倉駅前の目抜き通りがどんどん
観光地化して、営利優先になっていくことに憤慨していました。
(世の流れとして観光地化しない訳にいかないのはわかるけど
品位というものを守って頂きたい)
 
他の地位のある方々にも追随していただきたいものです。