「着物あとさき」 青木玉 [新潮社]
母 幸田文氏の亡き後
残された着物たちとどのようにつきあっていったかが
記されています。
大きな存在であったご母堂、
その分身のように感じられる着物たちを
身につけようと思えるようになったのは
没後十年を過ぎてからだそうです。
傷んでいたり、自分には合わなかったりと
そのまま身につけられるものは少なく
染め直したり仕立て直したりと手をかけています。
簡単に修理できないものも
職人さんの苦心の末、見事再生したりしています。
着物に携わる方たちの誇りなど
さまざまな心が伝わってきます。
着物というものは
単なる衣類ではなく
精神や文化というものを体現することが出来るものなのだと
考えさせられました。