仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

‘再興院展100年記念 速水御舟―日本美術院の精鋭たち―’ 山種美術館

 
東京 恵比寿にある山種美術館で開催中の展覧会です。
 
山種美術館は、上野の国立博物館を別格にすると
今一番好きな美術館です。
 
どこが好きかというと、趣味が合う、んです。
コレクション、運営理念、経営方針などなど。
 
 
日本画専門の美術館で、コレクションは創業者、二代目が集めた作品が中心です。
蒐集は画家と親交を持ちながら行っていたそうで、
目に留まった作品をポイっと買うというのとは違うんですね。
「絵は会社の金ではなく私財を投じて買う」というポリシーがまたいいです。
 
 
私立美術館にありがちな創業者の功績アピールは
まったくない館です。
 
美術館を設立したのも社会貢献のためで
現在は三代目にあたる方が館長をなさってますが
その理念は受け継がれています。
 
 
 
収蔵作品は大体好みに合います。
 
美術館を見に行って、作品の何割を鑑賞するかは
その時によります。
(全部ざっとは眺めるのですが、本気で鑑賞するのは興味のわいたものだけです。
 まず一通りさーっと見て回った後に、見たい作品をじっくり鑑賞するというのが私の回り方です) 
 
場合によっては、鑑賞したのは数作だったということもありますが
この美術館では、ほとんど鑑賞します。
今回も「これは見なくてもよかったな」というのは数作だけでした。
 
 
 
 
それから建物が快適です。
現在の館を新築移転してから10年経っていないそうですが
すごく居心地いいです。
 
美術館だから趣味がいいのは当たり前だけど
意外と居住性、利便性と両立しにくいもので
利用しにくい館もあります。
 
最新技術を使っているそうで、展示室はより鑑賞しやすい設備になっているようです。
付属のカフェもいい感じにくつろげます。
企画ものの和菓子があったりして。
 
不思議なのは、ショップが展示室フロアにあること。
他では見たことないです。
何がねらいなのでしょうか。
 
館全体に来館者への配慮が行き届いているようで
和みます。
もっと近くだったら、ちょくちょく行きたいものです。
 
 
 
 
 
また経営感覚が優れているとも感じます。
創設時の運営理念を受け継ぐのとは別に
現代にあった経営をされているように感じます。
 
美術館の運営システム上の細かい配慮とか
ミュージアムショップの品揃えとか。
同じ作品を使ってさまざまなバリエーションの商品を出しています。
 
クリアファイルはどこの館でも売っていますが
ここはサイズがいくつもあるんです。
A6なんてなかなかないです。
はがき類もグレード別になってたりするし。
 
 
 
 
肝腎の作品について。
速水御舟という画家がコレクションのメインです。
今回は、代表作の「炎舞」を目当てに行きました。
 
どの展示会にいってもこの画家の作品を見ることになると思いますが
さまざまな技法を取り入れて作品のバリエーションが多い方のようなので
飽きないと思います。
 
この美術館が好きってことは
速水御舟の作品が好きってことになるんでしょうね。
 
品が良く穏やかで美しく癒し系で、好きです。
家に飾れるような和む作品が好きなんですよね。
 
 
 
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これも代表作 屏風「翠苔緑芝」

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対の掛け軸 「紅梅」「白梅」

 
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上は「白芙蓉」 下は、奥村土牛の「蓮」

 
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上は、「春池温」  
下は、「暗香」
夜の梅の香を歌った古い和歌を思い出しました。
 
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上は、「あけぼの・春の宵」    下は、「牡丹花」
 

 
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上は「桃花」  下は「豆花」
 
 
 
 
 
 
 
 
山種美術館に初めて来たのは
「旅」をテーマにした企画展でした。
 
絵の種別、時代、作者はバラバラでしたが
非常に楽しめました。
 
この辺りに美術館の運営者の手腕が表れるんだろうなと思います。
 
小さい美術館だし、作品の種類・数は多い方ではないと思いますが
定期的に来ようと思います。
その時々で違った切り口で、新しい発見をさせてもらえると思うので。