仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

三権分立

大飯原発差し止め判決 あまりに重い福島の教訓

(2014年5月22日午前7時20分)
 安全性の保証をせずに大飯原発3、4号機を再稼働させたとして、本県の住民らが関西電力に運転差し止めを求めた訴訟で、福井地裁の樋口英明裁判長は、地震時対策の機能的、構造的欠陥を指摘し、「運転してはならない」と再稼働を認めない判決を下した。

 東京電力福島第1原発事故後、初の運転差し止め訴訟は、原発潜在的な危険性を認める判断となった。全国の運転差し止め訴訟にとどまらず、原子力規制委員会の安全審査にも暗に影響を与える可能性がある。

 判決でまず注目されるのは、原発から250キロ圏内の原告人すべてを原告適格と判断したことだ。福島事故で、同圏内の住民に避難勧告する可能性が検討された点を根拠として挙げた。過酷事故が起きれば、影響は250キロにとどまらない可能性もあり、こうした判断根拠は衝撃的である。

 訴訟で最大争点となったのは、耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」を超える地震が発生するかだった。原告側は2005年以降だけでも全国の原発で基準を超える地震が5件観測されているとして、関電の過小評価を批判し、国内観測の最大地震動を想定すべきと主張。「安全上重要な施設の機能は問題なく維持される」と反論する関電と真っ向ぶつかった。

 さらに地震による外部電源喪失による原子炉冷却の維持や使用済み燃料の放射能漏れ、活断層などの影響も争点となった。

 判決で樋口裁判長は「原発は社会的に重要だが、電気を生み出す一手段にすぎず、人格権より劣位にある」と指摘。その上で「地震大国日本において基準地震動を超える地震大飯原発に来ないという根拠はない上、基準地震動に満たない地震によっても重大な事故が生じ得る」として「本質的な危険性にあまりに楽観的だ」とまで断じた。

 原発の安全性を問う場合科学的、技術的見地に基づいて冷静かつ説得力ある判断を下せるかが重要だ。原子力規制委で新規制基準に基づく審査が続いており、独自判断をここまで明示することは原告団の予想をも超えたのではないか。

 同原発をめぐり、近畿の住民らが再稼働させないよう求めた仮処分の決定で、大阪高裁は住民側の申し立てを却下している。「規制委の結論より前に、裁判所が稼働を差し止める判断を出すのは相当でない」という理由からだった。

 こうした流れを踏まえれば、大飯原発が安全確保の大前提である「冷やす」機能と「閉じ込める」構造に「欠陥がある」と判断し、再稼働の動きに「待った」を掛けたのは災害列島における原発そのものの存在否定につながるものだ。

 確かに、安全神話が崩れいまだ事故が収束せず、原因も地震の影響も確定していない中で、「事故が起こり得る限り停止せよ」という判断は成り立つ。福島の教訓はそれだけ重い。

 原子力規制委の田中俊一委員長は「われわれの考えで審査していく」と判決を冷静に受け止める。関電も控訴の構えだ。政府も従来方針に変わりない。

 だが原発をめぐる景色が変わったことは事実だ。脱原発世論が一段と増し、原子力行政を住民安全の視点で論じる重要性も増すだろう。14基の原発を抱える県内でも、県民議論をより具体的に深める必要がある。
 
 

 
 

自衛隊機初の差し止め=夜間飛行「被害深刻」-第4次厚木騒音訴訟・横浜地裁

 
http://www.jiji.com/news/kiji_photos/0140521at35_t.jpg
自衛隊機の夜間飛行差し止めを命じる判決を受け、勝訴の旗を掲げる弁護団=21日午後、横浜市中区の横浜地裁
 米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和、綾瀬両市)の周辺住民約7000人が、国に航空機の夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償などを求めた第4次厚木騒音訴訟の判決が21日、横浜地裁であった。佐村浩之裁判長は「原告らが受けている睡眠妨害の被害は相当深刻」として、自衛隊機の午後10時から翌日午前6時までの飛行差し止めを命じた。


 全国の基地騒音をめぐる訴訟で、飛行を差し止める判決は初めて。米軍機の差し止め請求は退けた。
 損害賠償は、過去の騒音被害について総額約70億円の支払いを命じた。賠償額は米軍嘉手納基地(沖縄県)の同種訴訟で2011年に確定した約56億円を上回り過去最高。騒音解消までの将来分の請求は、過去の訴訟と同様退けた。(2014/05/21-19:45)