春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
持統天皇
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
僧正遍照
夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ
清少納言
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ
有明の 月ぞ残れる 後徳大寺
左大臣
夜もすがら もの思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり 俊恵法師
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれに
ぞぬれし 色はかはらず 殷富門殷大輔
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし 後京極摂政前
太政大臣