‘西洋美術の世界 バロックからバルビゾンまで-山寺 後藤美術館コレクション展-’
横浜 そごう美術館で開催中の美術展です。
後藤美術館は山形県山寺にあるそうで
近代の実業家のコレクションが元になっている個人美術館です。
この展覧会では洋画のみの展示です。
感想を一言でいうと
「コレクション主=後藤氏とは趣味がわりと合うなあ。」
各時代の主流の、
オーソドックスな絵画が多かったです。
だから、どなたにも楽しみやすい展覧会なのではないでしょうか。
今回、一番勉強になったのは
静物画の意味がわかったことです。
静物画というのは洋画のモチーフの定番の一つで、
絵を習う場合も必ず描くのではないでしょうか。
以前から疑問だったのですが、
花とか果物とか食器を描くのは
手近にあるものをモデルにしたとしても、
なんでわざわざ動物の死骸とか
キモチワルイ物を描かなきゃいけないのだろう
と思っていました。
実は意味があったんですね。
パネルに解説がありました。
「静物画」という用語は
もともと「生命のない自然」というような
意味の言葉なんだそうです。
だから「命が失われた=静止した」自然物を
描くんですね。
そこから生命のありがたさ、神様の恩寵といった方面に
思いをいたすことが狙いだそうです。
また、モチーフとなっている物それぞれには
キリスト教的な寓意があるんだそうです。
たとえば魚はキリスト教徒、など。
だから単なる静物画と思っても
見る人が見れば、深い意味をくみ取ることができる訳です。
風景画によって思想や哲学を表すというのは
東洋の十八番だと思っていました。
ある意味では同じと思うと
楽しいですね。
それから、各時代の主流の絵画が
その時期に発生した時代背景なども解説してあり
西洋絵画の流れがちょっとわかったような気になれました。
私はバロックの宗教画は
類型的でどれを見ても同じ気がして
興味をもてなかったのですが
背景を知るとおもしろさを感じられました。
一番好きなコロー
ロマンチックで叙情的な作風という解説でした。
東山魁夷が好きなのと同じ系列かなあ。
今回、新たに興味をもったクールベ
力強い感じで
明治の日本の洋画家を思い出しました。