仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「正岡子規」     ちくま日本文学全集文庫

明治の俳句・短歌の革新運動の第一人者

司馬遼太郎の「坂の上の雲」のドラマのイメージが強いでしょうか。



この人の散文を読んだのは初めてでしたが
なかなか興味深かったです。

10年以上も苦しい闘病生活を続けて、
35歳で早世したということを
頭にいれた上で読んだ方がよさそうです。

子規=ホトトギス(のどの中が赤い鳥)の筆名は
結核で喀血したことから付けたことは
知っていましたが、
加えて脊椎カリエスという非常に苦痛を伴う
病気にもかかっていたそうです。

彼の著作は闘病生活の中で書かれています。
驚嘆すべき精神力ですね。
病状が重くなって筆をとれなくなってからは
口述筆記していたようです。




「歌よみに与うる書」という文章が有名ですが
これは短歌の権威者たちに
喧嘩を売っている書です。

ホリエモンの全盛期を思い出しました。
新しい勢力が伸びていくためには
既成の権威を否定する必要があるのでしょうか。

子規には、じっくり穏やかに改革を進めていく
時間はなかった訳ですし。


 
随筆は、闘病生活を綴った内容が多かったです。
考えたら、こういう内容の作品って
あまり世に残ってないですよね。

まあ、多数の人が読みたがる内容ではないから
売れないし、
第一、死にそうな自分の状態を文章化できるのって
よほどの精神力がないと出来ないですよね。
正岡子規ってすごい大人物だったんですね。