仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「豊臣家の人々」 司馬遼太郎

ご存知、歴史小説の大家。
名作多数で、NHK大河ドラマの原作数が一番多いそうです。
 
この作品は、豊臣秀吉にまつわる人々を描いた全九話の短編集です。
秀吉の子供(養子)、奥さん、弟、妹を取り上げています。
 
私は信長・秀吉・家康の中では秀吉が好きです。
「人たらし」の名人ぶりにやられてしまいます。
戦をする時も、力で制圧するより、知恵をしぼって血を流さず
勝利を収めるやり方なのが好きです。
 
 
もっと好きなのが正妻 北ノ政所
第四話で描かれています。
 
  秀吉が木下姓であったころは彼女の内助なしに秀吉の功は語れない。・・・・
  もし彼女がいなかったならば、こんにちの秀吉は成立しなかったかもしれない。
 
  尾張青洲の浅野家の長屋で薄べりを敷いて粗末な婚礼をとげたむかしからおもえば、彼女自身でさえ
  信じられぬほどの栄達であった。
  「しかし、私が私であることにかわりはない。」と寧々はつねづね、侍女たちにいった。彼女の奇蹟は、
  その栄達よりもむしろ、そのことによっていささかもその人柄がくずれなかったことであった。
こういう賢夫人って大好きです。
だから淀君が嫌いです(笑)
 
 
秀吉の弟の存在はこの本で初めて知りました。
「第五話 大和大納言」
非常に人柄がよく思慮深い人物で、
 豊臣家は大和大納言で保(モ)っている。
といわれるくらいだったそうです。
残念ながら秀吉よりも先に亡くなってしまいます。
 
 
 
 
豊臣政権が、秀吉一代限りだったことはうなずけます。
政権を維持していくためには、子弟の教育や家臣団の育成が必要ですが
あまりにも出自の低い一代の英雄秀吉には、そこまでの余力はありませんでした。
 ただのお百姓だった親族は、秀吉の出世にまきこまわれて身の上が激変した結果
不幸にみまわれたりしていて気の毒です。
 
 
 
辛抱強い家康が最後に勝利を収めました。
個人的には、織田政権が存続していたら、日本は今とはだいぶ違うお国柄に
なっていたのではないかと興味があります。