仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

#読書

「下町ロケット ガウディ計画」  池井戸潤   (小学館文庫)

直木賞受賞の「下町ロケット」の続編です。 前作から数年後、 佃製作所はまたピンチに陥ります。 今度の敵は、新興のライバル企業と権力志向の医学部教授です。 「ガウディ」とは、心臓病治療のための医療機器の名前です。 前作同様、楽しめる小説です。 敵…

「向田理髪店」    奥田英朗   (光文社)

北海道の過疎地が舞台の連作短編集 6編収録 北海道の炭鉱都市だった町が舞台 一時期は栄えた町だったが炭鉱が閉鎖されてから さびれる一方で、とうとう財政破綻したという町 主人公 向田康彦は理髪店の店主 妻・母との三人暮らし 娘と息子は就職して家を出…

「我が家のヒミツ」  奥田英朗   (集英社文庫)

「家日和」「我が家の問題」に続く家族小説シリーズ第三弾 シリーズといっても、家族をテーマにした短編集というだけで 三作の中で継続したストーリーは1篇ずつだけです。 奥田氏が作風が多彩で、作品によって全然違いますが このシリーズはもっとも心温ま…

「おしょりん」   藤岡陽子  (ポプラ社)

時代は明治 文明開化、殖産興業の時期。 舞台は福井県の生野という村 主人公 むめ は近隣の村の庄屋の娘で 生野村の名家 増永家の跡継ぎ 五左衛門に嫁いだ。 しかし、結婚前に五左衛門の弟 幸八に抱いた恋心を忘れることはできず 子供を何人もさずかりながら…

「最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室」  林真理子(文春文庫)

シリーズ短編小説 女社長 中島ハルコ 52歳 バツ2 が、痛快に世の女性の悩みを斬る! といった筋立てです。 モデルは実在の人物で 林氏のエッセイを読んでいる人ならわかると思います。 ハルコは濃いキャラで、超マイペースで自分勝手だけど なぜか憎めな…

「日本人のための世界の宗教入門」    齋藤孝   [ビジネス社]

日本の社会人の教養書として必須だと思います。 日本の宗教事情というのは世界的に見て特殊なので、 そこんとこを自覚すべきだと思います。 国際化を目指すなら、英語を身につけるより こちらを優先すべき。 国際紛争の種になりますから。 テロ問題の解決の…

ちくま日本文学全集文庫、終了

全集をどこまで読破できるか しばらく続けてみましたが ひとまず終わりにしようと思います。 わかったことは 有名な作家、作品はそれなりの理由がある ということ。 やっぱり名の知れた作家の方が おもしろかった、または 読むに耐えられた。 有名な作家なら…

「色川武大」    [ちくま日本文学全集]

「色川武大、それって誰?」 と思ったら 「麻雀放浪記」の阿佐田哲也のことだったんですね~。 アウトローな人生を送った方のようで 「無頼派」ってこういうのかなあと思いました。 この方も男性に好まれる作家なんでしょうね。 自分を病気と知りつつ 寿命を…

「壇蜜日記2」   壇蜜 [文春文庫]

読みながら、ふと思ったこと 「・・・お友達になりたい。」 壇蜜さんと、です。 文章を読んでいると テレビでは表にでない内面が 伝わってくるような気がします。 奥行きのある人物だと思うんですよね。 つきあっておもしろい方だと。 ファンレターでも書い…

女性ファッション誌のサイズ

女性ファッション誌は大判で重いものですが しばらく前から同じ内容の小型版を出す雑誌が増えています。 携帯に便利ということらしい。 私はファッション誌は家で読むし 同じ値段ならサイズが大きい方がお得な気がして(笑) 小型版を買ったことはなかったで…

「中勘助」       [ちくま日本文学全集文庫]

代表作「銀の匙」は好きな作品ですが、 他の作品は読んだことなかったです。 「銀の匙」のイメージから 白樺派的理想主義の叙情派作家だと思っていましたが この一冊でそれを見事に覆されました。 この文庫シリーズは 一人の作家ごとに(主に)短編を集めた…

クリスティ&ホームズ

久しぶりにミステリー祭りが開催されておりました。 アガサ・クリスティとシャーロック・ホームズを読み返したのです。 所感がいくつか。 一般的に探偵小説の代名詞といえば、ホームズです。 クリスティの方が作品数が多くトリックも複雑であるのに。 その理…

「知識人99人の死に方」  荒俣宏:編   角川文庫

題名の通り、99人の方の死去に至るまでのエピソード集です。 今年のお正月、両親と「お葬式はこういう風にしてほしい」という会話をしてから その方面のことを考えることが増えていた所から 手に取りました。 文学系では 三島由紀夫、谷崎潤一郎、松本清張…

「情事」 森瑤子  [集英社文庫]

森瑤子さんの作品、読んでみました。 処女作で、すばる文学賞をとった短編です。 フランス文学を連想するような文章です。 私なりにストーリーをまとめると 夫婦関係に倦怠を覚える33歳の女性が 憂さ晴らしに一夏の浮気をして終わる話。 といってしまうと…

「こんなにも恋はせつない」  恋愛小説アンソロジー  [光文社文庫]

唯川恵:選 日本ペンクラブ:編 女性作家の短編恋愛小説を集めたアンソロジー 収録作家は 江國香織 川上弘美 小池真理子 高樹のぶ子 田辺聖子 藤堂志津子 林真理子 森瑤子 山田詠美 唯川恵 現代を代表する女性作家を集めた一冊といえましょう。 私は小説につ…

「壇蜜日記」   壇蜜    [文春文庫]

題名そのまま、壇蜜さんの日記です。 2013年10月から1014年8月まで。 どういう企画かと気になりましたが 文庫かきおろしです。 文藝春秋社、やるなあ。 どの層を狙ってるんでしょうか。 売り上げ部数が知りたい。 内容は真面目です。 というか、…

三島屋変調百物語シリーズ  (宮部みゆき)    [文藝春秋]

時代 ミステリーというかオカルトもの 短編集ですが、話は続いています。 江戸の小物屋 三島屋の娘おちか が 訪れる人々の不思議物語を聞く という設定。 現在シリーズ3巻まで出ています。 ①おそろし ②あんじゅう ③泣き童子 一巻ごとに読後感はかなり違いま…

5月初めのお花

ハナミズキってこんな花だったんですね~ 西洋絵画の雰囲気。 ひととようの歌が頭に浮かびます。

「ばんば憑き」  宮部みゆき    [角川書店]

時代小説短編集 「坊主の壺」「お文の影」「博打眼」「討債鬼」「ばんば憑き」「野槌の墓」 の6編収録 ジャンルとしては、心温まる系オカルト物 宮部氏の短編時代小説には 時々、「ぼんくら」シリーズの岡っ引き政五郎が出てくるのが 楽しみです。 「お文の…

「我が家の問題」   奥田英朗   [集英社]

「家日和」の続編です。 といっても同一テーマ(家庭)の短編集というだけで 一つずつの作品にはつながりはありません。 奥田氏には数少ない心温まる系作品です。 前作よりも時代が変わった世相を反映してか 身につまされる内容が多いです。 「ハズバンド」…

「自分を生きてみる ~一期一会の心得~」  千宗室 [中央公論新社]

裏千家家元 千宗室氏の語る人生論 講演会を記録した章もあり、優しい語り口で理解しやすい内容です。 茶道の知識がなくても大丈夫です。 茶道論ではなく、茶道を通して 人の在り方、生き方を語っている内容です。 私は茶道に興味があり 関連の本も時々読んで…

「夕顔」  白洲正子     [新潮文庫]

白洲正子氏の随筆集 晩年に書かれたものが集まっています。 掲載された雑誌はバラバラなので 内容もさまざまです。 印象に残った話について。 [ツキヨミの思想] 河合隼雄氏がテレビ番組で語った「現代人と日本神話」を話題として取り上げています。 「中空…

「天地明察」   冲方 丁   [角川書店]

時代小説 2010年 吉川英治新人賞、本屋大賞受賞 江戸時代(四代将軍 家綱~綱吉)の天文学者 渋川春海が主人公 幕府の権力者の依頼を受け、新しい暦の開発とその全国実施を達成するまでの物語 いくつかの楽しみ方が出来る小説です。 時代小説として、江…

「天使の牙」「天使の爪」  大沢在昌     [小学館]

2作のシリーズです。 主人公は女性警察官。 麻薬シンジゲートのボスの脱走した愛人の警護で 追っ手に撃たれて瀕死の重傷。 脳移植により愛人の身体で生き返る、という設定。 荒唐無稽な設定だし、 人物造形にはやや首をひねる所がありますが 主人公の心理の…

壇蜜×林真理子 対談   at 婦人公論

今、発売中の雑誌「婦人公論」に 壇蜜さんと林真理子さんの対談が掲載されています。 私的に興味深い組み合わせです。 広告で見つけて是非読んでみたいと思いました。 期待通り、おもしろい内容でした。 壇蜜さん、かなり素で話しているような。 男性向けの…

「真砂屋(まなごや)お峰」   有吉佐和子   [中公文庫]

舞台は江戸時代後期 真砂屋は材木屋、お峯はその跡継ぎ娘 江戸時代も長くなり、その矛盾が社会に露呈している時期で 武士は窮乏し大商人が贅沢をむさぼっている頃。 真砂屋は、長屋建造のためだけに材木を売るという奇特な店。 お屋敷住まいのお大尽相手には…

「幸田文 台所帖」  幸田文   [平凡社]

幸田文氏のエッセイ集シリーズ 「台所」がテーマ 池波正太郎氏の食べ物エッセイがお好きな女性にお勧めしたいです。 同じ世代で東京出身、通じるものがあるような気がします。 池波氏は作らせて食べる立場、幸田氏は作って食べてもらう立場というのが 違いま…

「野心のすすめ」  林真理子    [講談社現代新書]

作家 林真理子氏が書いた現代人に贈るメッセージ。 タイトルの通り、「野心をもつ」ことを(特に若者に)勧めています。 エッセイにあるような韜晦なしに、本音で語っています。 ‘硬派’林真理子の姿が見られます。 私のように、自分の好みとは違う路線の作家…

ティアラをした店員さん

今日、本を買おうと本屋のレジ前に立ったら 店員さんがティアラをつけていてびっくりしました。 ティアラって、ウェディングドレスの時、頭につける王冠っぽい飾りです。 そのお嬢さんはいかにも書店員らしく すっぴんで地味な服装にエプロン。 そこにティア…

「県庁おもてなし課」   有川浩   [角川書店]

高知県庁に実在する「おもてなし課」をモデルにしたフィクション 観光立県をめざして設立したおもてなし課の課員が、目標を目指して活動する物語。 「お役所体質」がリアルに語られます。 どこまでが実話なのだろうかと思ってしまうリアルさです。 いろいろ…