「ステップファーザー・ステップ」 宮部みゆき [講談社]
泥棒さんが主人公の連作短編集、7編収録
主人公がある新興住宅地に泥棒に入ろうとした夜、突然の落雷に遭遇し、
屋根から転落し、隣の家の中学生の双子の兄弟(直・哲)の保護を受けることになった。
弱みを握られた主人公は、双子のニセ保護者をつとめさせられることになった。
双子は一軒家に二人きりで暮らしています。
両親は不在中。理由は駆け落ち。
父と母がそれぞれ別の相手と出て行ってしまったのです。
兄弟二人の暮らしを守りたい双子は
主人公に金銭を要求します。
お金だけでは済まなくて、主人公は双子の父親役を
務めさせられるようになります。
それがタイトルの由来ですね。
主人公の名前は一切出てきません。
容貌の描写もほとんどなく、わかっているのは年齢は30代ということくらいです。
双子はいつもニコニコ無邪気なようで、
けっこうしたたかでワル。いいキャラしています。
ストーリーは双子の生活を中心に進んでいきます。
サブキャラとして
主人公の仕事仲間の情報屋のオヤジや
置き引きの名人のおじさんなどが出てきます。
設定や筋立てに少し無理はありますが、
疑似家族の暖かい心の交流を
楽しみたい作品です。