仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

本/フィクション:平成:女性

「円卓」    西加奈子   (文藝春秋)

主人公 小学三年生の女の子 こっこ(琴子)の視点で 家庭生活や学校生活を描いています。 こっこは非常に個性が強い女の子です。 頑固で自分の意志をはっきり持っています。 現実にいたら、学校では問題児扱いか または発達障害にカテゴライズされるかもしれ…

「和菓子のアン」「アンと青春」  坂木司  (光文社文庫)

和菓子店を舞台にした日常ミステリーシリーズ 連作短編集 主人公(通称)アンちゃんは、高校卒業したての女子。 進学も就職も決まらなかった彼女は、都心のデパートの和菓子店で アルバイトを始めた。 個性ある同僚に囲まれ仕事に励みつつ、身の回りに起こる…

「大きな音が聞こえるか」  坂木司  (角川書店)

久しぶりに好きな小説家が増えました。 坂木司氏です。 この方はプロフィール非公表で性別もわかりません。 私は女性と推測します、文体から。 以前に「和菓子のアン」を読んでおもしろかったけど ちょっとキャラを作りすぎで、漫画かラノベっぽいと感じられ…

「おしょりん」   藤岡陽子  (ポプラ社)

時代は明治 文明開化、殖産興業の時期。 舞台は福井県の生野という村 主人公 むめ は近隣の村の庄屋の娘で 生野村の名家 増永家の跡継ぎ 五左衛門に嫁いだ。 しかし、結婚前に五左衛門の弟 幸八に抱いた恋心を忘れることはできず 子供を何人もさずかりながら…

「最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室」  林真理子(文春文庫)

シリーズ短編小説 女社長 中島ハルコ 52歳 バツ2 が、痛快に世の女性の悩みを斬る! といった筋立てです。 モデルは実在の人物で 林氏のエッセイを読んでいる人ならわかると思います。 ハルコは濃いキャラで、超マイペースで自分勝手だけど なぜか憎めな…

「こんなにも恋はせつない」  恋愛小説アンソロジー  [光文社文庫]

唯川恵:選 日本ペンクラブ:編 女性作家の短編恋愛小説を集めたアンソロジー 収録作家は 江國香織 川上弘美 小池真理子 高樹のぶ子 田辺聖子 藤堂志津子 林真理子 森瑤子 山田詠美 唯川恵 現代を代表する女性作家を集めた一冊といえましょう。 私は小説につ…

三島屋変調百物語シリーズ  (宮部みゆき)    [文藝春秋]

時代 ミステリーというかオカルトもの 短編集ですが、話は続いています。 江戸の小物屋 三島屋の娘おちか が 訪れる人々の不思議物語を聞く という設定。 現在シリーズ3巻まで出ています。 ①おそろし ②あんじゅう ③泣き童子 一巻ごとに読後感はかなり違いま…

「ばんば憑き」  宮部みゆき    [角川書店]

時代小説短編集 「坊主の壺」「お文の影」「博打眼」「討債鬼」「ばんば憑き」「野槌の墓」 の6編収録 ジャンルとしては、心温まる系オカルト物 宮部氏の短編時代小説には 時々、「ぼんくら」シリーズの岡っ引き政五郎が出てくるのが 楽しみです。 「お文の…

「県庁おもてなし課」   有川浩   [角川書店]

高知県庁に実在する「おもてなし課」をモデルにしたフィクション 観光立県をめざして設立したおもてなし課の課員が、目標を目指して活動する物語。 「お役所体質」がリアルに語られます。 どこまでが実話なのだろうかと思ってしまうリアルさです。 いろいろ…

夏樹静子

女性推理小説家として高名で、数々の作品を手がけています。 女性ならではの細やかな心理描写が味わい深いです。 もちろんミステリーとしてもしっかりとした構成で、謎解きを楽しめます。 「そして誰かいなくなった」「Wの悲劇」など 海外ミステリーの名作を…

「おまえさん」  宮部みゆき   [講談社文庫]

「ぼんくら」「日暮らし」に続く、時代推理物シリーズ第三弾 単行本と文庫同時発売という、文庫派の私にはうれしい売り出しです。 本所深川方のぼんくら同心 井筒平四郎と、その甥の美少年探偵 弓之助を中心とする 推理劇であり人情物です。 今作は、薬屋の…

「小暮写真館」  宮部みゆき

宮部作品にあるいくつかのジャンルをブレンドしたような話。 少年物+超常現象物+ミステリー+社会派 主人公は高校生男子 彼には愛くるしい小学生の弟がいます。 この辺が少年物。 ストーリーは心霊写真を軸に進んでいきます。 主人公が行きがかりから、心…

「返事はいらない」 宮部みゆき   [新潮文庫]

現代小説 短編集。6編収録 宮部作品の中では初期の方です。 人口過密な都会の中での、人間の孤独感を描いた作品が集まっています。 宮部さんは作家になる前に 速記職を目指して勉強したり、法律事務所に勤めたりしています。 そのころの経験がうかがえる題…

「ステップファーザー・ステップ」  宮部みゆき   [講談社]

泥棒さんが主人公の連作短編集、7編収録 主人公がある新興住宅地に泥棒に入ろうとした夜、突然の落雷に遭遇し、 屋根から転落し、隣の家の中学生の双子の兄弟(直・哲)の保護を受けることになった。 弱みを握られた主人公は、双子のニセ保護者をつとめさせ…

「あやし」 宮部みゆき  [角川文庫]

時代小説短編集。9編収録 人情物ではなく、怪談です。 「居眠り心中」「影牢(カゲロウ)」「布団部屋」「安達家の鬼」「女の首」「時雨鬼」など 題材はオカルトっぽいのですが 怪奇物というよりは、人の心の恐ろしさを描いた心理物のように思います。 一番怖…

「松風の家」 宮尾登美子    [文藝春秋]

茶道の裏千家をモデルにした、歴史ある家柄を支える女性を描いた芸道小説 時代は明治、京都 後之伴家は千利休を祖とする茶道三家の一つという由緒ある家柄。 明治維新後激変した世の中で茶道の行く末が危ぶまれる中、十二代家元恭又斎は 十三才の息子(十三…

「もっと塩味を!"Plus de sel, s'il vous plait!"」 林真理子[中央公論新社]

フランス料理のレストラン経営を志したことから人生が激変した女性を描いた長編 安川美佐子がマダム、夫の直人がシェフを務めるパリのレストラン「シリウス」が「ミシュラン」レストランガイド の星を獲得した。長年の苦労の末念願がかなった喜びもつかの間…

「着物をめぐる物語」 林真理子  [新潮社]

タイトル通り、着物にまつわる物語を集めた短編集、11話収録 「松の緑」「形見」「唐子」「お夏」「織り姫さま」「箱屋」など 話ごとに語り手は変わります。 それぞれの立場から着物に関わっている主人公達が、自分のエピソードを語ります。 加賀友禅職人…

「ミスキャスト」 林真理子  [講談社]

三十八歳会社員 男性が主人公の不倫小説 商社に勤める原岡は三年前、専業主婦の妻多恵子と小学生の娘奈美を捨て、不倫の末の再婚をした。 今の妻典子は映画や本、コンサートのPR会社に勤めるキャリアウーマン。劇的な再婚から三年が経ち 原岡は今の生活に不…

「素晴らしき家族旅行」 林真理子

お茶の間ホームドラマといった感じの家族小説 菊池忠紘は妻幸子と息子・娘と共に両親の家で暮らすことになった。忠紘の寝たきりの祖母淑子を 介護するためだ。忠紘の父保文の他、二人の子供がいるのにも関わらず、孫夫婦が介護する ことになったのには、やや…

「初ものがたり」 宮部みゆき

時代もの連作短編集。捕り物帳系 「お勢殺し」「白魚の目」「鰹千両」「太郎柿次郎柿」など6編収録 テレビドラマになりました。 主人公は、「回向院の旦那」と呼ばれ、本所深川一帯を預かっている岡っ引きの茂七 切れ者で心温かい親分が、手下の権三や糸吉…

「ドリームバスター」 宮部みゆき

地球とは別次元の星の人々が主人公の、SF冒険物語 完結はしておらず、徳間書店から5巻まで出ているようです。 主人公シェンは、惑星テーラのドリームバスター(D・B)。 地球人の夢の中に隠れている、脱走した囚人たち(の精神体)を捕獲する賞金稼ぎだ。 …

「しゃべれどもしゃべれども」 佐藤多佳子

小学生からおっさんまでの登場人物が、自分と格闘する青春小説 「本の雑誌が選ぶ年間ベストテン」に選ばれました。 主人公 今昔亭三つ葉は二つ目の落語家。芸の道の精進の毎日。 ひょんなことから素人に落語を教えることになる。 生徒は、対人恐怖症気味のい…

「対岸の彼女」 角田光代(かくたみつよ)

女性による女性に向けての小説。 直木賞を受賞し、テレビドラマにもなりました。 主人公は二人。 田村小夜子=幼児の娘がいる主婦。三人家族、35歳 楢橋葵=小さな旅行関連会社の社長。独身の一人暮らし、35歳。 外で働こうと決意した小夜子が、葵の会社…

「風に舞いあがるビニールシート」 森 絵都

児童文学の方でご存知の方も多いかもしれません。 この作品は大人向けの短編集で、6編収録。油絵風の表紙が素敵です。 表題作で直木賞を受賞しました。 6編それぞれ色合いが違い、かつ内容が濃くて、お得な一冊かと思います。 日々がんばっているけれども…

「博士の愛した数式」 小川洋子

第一回本屋大賞を受賞した作品として有名です。映画にもなりました。 主人公の「私」は家政婦。小学生の息子と二人暮し。 非常に変わった顧客の下に派遣されるようになった。 一人住まいの老人で、元大学教授(数学)。 彼の記憶は80分間しかもたないとい…

「心とろかすような マサの事件簿」 宮部みゆき

「パーフェクト・ブルー」の続編ですが、前作を読んでいなくても支障ありません。 5編収録のミステリー短編集です。 物語はすべて、蓮見探偵事務所の犬マサによって語られます。 大規模な犯罪事件はなく、蓮見家の日常の様子がうかがえる作品集です。 前作…

「パーフェクト・ブルー」 宮部みゆき

現代ミステリー小説、初期の作品です。 諸岡克彦は、優れたピッチャーで高校野球界のスターだ。 その彼が殺された。 事件の解明に、蓮見探偵事務所の加代子たち、犬のマサ、 克彦の弟の進也がのりだしていく。 語り手は犬、という斬新なスタイルです。 マサ…

「ぼんくら」「日暮らし」 画像

前の記事の画像です。

「日暮らし」 宮部みゆき

「ぼんくら」の続編の、時代ミステリー小説 上下巻で、計5編が収録されています。 「おまんま」 岡っ引き 政五郎の子分の男の子、おでこくんの思春期の?悩みのお話。 政五郎さんはやっぱりシブいなあ。おかみさんのお紺さんもいい女です。 「嫌いの虫」 鉄…