仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

出版10社 がんばれ!

「過激な性的描写がある漫画の販売規制を強化する」という
東京都青少年健全育成条例の成立を受けて
‘出版10社(コミック10社会)’が石原慎太郎東京都知事が実行委員長の
東京国際アニメフェア2011(3月下旬開催予定)への協力、参加を
拒否する緊急声明を出しました。
 
これまでにも
漫画家協会やペンクラブ、弁護士会などいくつもの団体が
反対声明を出していましたが、
これは、企業自身また都の収益に大きく影響する具体的な抗議行動で
反響を呼んでいます。
 
 
このような条例の成立は
軍国主義国家主義のための思想統制につながる
恐ろしい出来事です。
その先に待っているのは戦前の治安維持法です。
 
都議会で成立に賛成したのは、自民・公明・民主の三会派で
反対したのは、共産党他です。
 
‘コミック10社会’の構成企業は
 
お上の圧力に負けず、自社の利益を犠牲にしても
不参加に踏み切った英断はすばらしいと思います。
特に、先陣を切って意志を表明した角川書店に敬意を表します。
 
出版業とは単なる製造・販売業ではなく
文化や思想を育て守るという責任をもつ業界であると思います。
愛書家の私は、各社がその気概を示してくれて本当にうれしいです。
 
10社だけに終わらず、アニメフェアに参加予定の他企業や
娯楽や表現活動に携わる他の業界の方々も
どんどん追随してくれることを期待します。
 
都民のみなさまにもぜひ、抗議の意志を表明していただきたいものです。
 
 
 
 
ただし、
条例推進派が主張する必要性の根拠がでたらめだとは思いません。
 
確かに、青少年の健全な育成を阻害する素因のある出版物が
だれでも自由に見られる形で流通しています。
10代の女の子に性行為への憧れをあおるような少女漫画は氾濫しているし、
ティーンはおろか、幼女が主人公のものさえあります。
10社の中で、特にそのタイプの作品が多い会社があり、
個人的には「販売禁止にしろ!」と思っていました。
 
公的な規制をはねつけるからには、
業界・作家が責任をもって自主規制を行わなければなりません。
 
 
 
 
しかし、そのような規制が必要なのは出版業界より
むしろIT業界だと思います。
規制・検閲皆無の画像や文章が無秩序に氾濫するインターネットの世界の方が
公に流通する出版物よりよほど恐ろしいです。
 
特に携帯電話。
個人的には小学生以下は所持禁止にしてしまいたいくらいです。
それはさすがに無理ですが、
インターネット機能は禁止とか、時間帯による使用制限とか
部分的な規制は必要だと思います。
 
ちなみにこの「規制」とは基本的に流通、所持、使用、閲覧の部分で
行うべきと考えます。
表現の自由は守られるべきで(他人の権利を侵害しない限りは)
 創作活動そのものに制限を加えることはファシズムだと解します。
 
 
でも、きっと業界の反対でなかなか
実現しないのでしょうね。
 
オンラインゲーム中毒者の激増が社会問題となり、それがもとで家族を殺す事件までが
複数起こっている韓国では、夜間はゲーム禁止にする案が出ているそうですが
業界の反対で実現しないそうです。
人が死んでも儲かればいいという経済界が政治を左右するのは
どこの国でも同じなのでしょうか。