『イシュタルの娘 -小野於通伝-』 大和和紀
小野於通(おの おつう)という女性が主人公
いろいろな時代小説に謎の美女として登場しているのだそうです。
「イシュタル」は、古代メソポタミアで金星を象徴する女神のことです。
於通は、織田信長の家臣の娘。小野家は身分は高くないが由緒ある家柄。
小野家は巫女の血統をひく一族で、霊感をもつ人物が生まれることがあります。
於通は戦国時代の終結を予言する巫女という意味で、‘イシュタルの娘’と題されています。
家族を失い、京の公家 九条稙通 の家に身を寄せ、学問・教養を学ぶことになります。
その中で、近衛信伊と生涯にわたる関係になります。
戦国末期という波乱の時期で、有名な武将が次々出てきて
華やかなストーリーを楽しめます。
一般的にはマイナーなお公家さんの知識も身に付きます。
織田信長。
やっぱり信長は面長の美形ですよね。
真田兄弟。前が兄 源三郎信幸、後が弟 源次郎幸村
「真田太平記」の信幸ファンなので、かっこよく描かれていてうれしい
この方々もイメージに合ってます。
長女 茶々(秀吉の妻 淀君)
次女 お初(京極高次の妻)
三女 お江与(徳川家忠の妻)
小野於通は、身分もないただの女性でありながら、戦国期に歴史に残る出来事に役割を
果たした特異な人物です。
家族を亡くした於通は、世話になっている九条稙通にこれからの身の振り方を問われます。
於通は答えます。
「どなたにも仕えず、どなたのものにもならず、 一生ただ人の小野於通としておなごひとり
自由にこの世を渡っていきとうござります!」
九条稙通はその言葉に応え、自由に世を渡るための武器として於通に当代一流の趣味教養を
教え授けていきます。
かっこいいですよね~
キャリアウーマンの走りです。見習いたいわあ。
大和和紀さんの漫画はやっぱりすごい。
ストーリーはもちろん、人物それぞれの設定がきっちりしています。(内面・外見)
時代物は髪型や服装で大きな区別を付けられない分、顔の描き分けが難しいと思いますが、
読んでいてちゃんと見分けられます。
顔の造りに大きな違いがなくてもわかるのは、眉毛や目元、表情などに微妙な違いがあるんですね。
やっぱり大和和紀氏は芸術家です。
於通の生涯をしっかり描いていくと、かなりの長編になると思いますが、
納得のいくようにきっちりと書き上げてほしいと思います。