仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「枕草子・蜻蛉日記・和泉式部日記」  [平安]

三作とも、平安時代の女流散文文学です。
 
現代の作品でも女性のエッセイは苦手なのですが
古典でも同じでした
同性ゆえか、女くささが鼻についちゃうんですよね~。
 
 
 
 
枕草子清少納言の随筆
冒頭の「春はあけぼの、やうやう白くなるゆく山ぎは・・・」の文が有名です。
 
内容的には、冒頭・初段のような作者の美的感覚について述べた段や
自分の宮廷生活のエピソードを語った段などがあります。
 
印象としては、気が強くプライドが高いキャリアウーマンの自分語りといった所です。
気の強い女性は好きなのですが、自分の才能について我から語っておきながら
表面上はやたら謙遜してみせる所がシラけるのです。
それが当時のマナーというものでしょうか。
 
清少納言紫式部がライバル関係と見られるのは
それぞれが仕えた皇后定子と中宮彰子の敵対関係の影響だと思いますが、
清少納言は勢力争いに敗れた定子方だっただけに
定子をほめたたえる記述の多さに、もの悲しさを感じます。
 
 
 
 
蜻蛉日記は右大将道綱母の日記。
愛されぬ妻の悲哀をるる綴った恨み言日記です。
 
この女性の夫は藤原兼家道長の父にあたる人。
当代の第一権力者ですから
妻・愛人も多くて作者は苦労します。
 
でも、この作者も身から出たサビな所があって
しばらく訪ねてこなかった夫がやっと来てくれたのに
家の扉を閉め切って入れないようにしたり、と素直じゃない。
それであとでグチグチ言ってもな~、という感じがします。
いかにも女心、ではありますが。
 
息子道綱くんのかわいらしさが泣かせどころです。
 
 
 
 
和泉式部日記」は名前の通り和泉式部の日記です。
紫式部と同じ中宮彰子に女房として仕えました。
歌人として名高い女性。
 
恋多き女としても有名で
作品は、恋人の一人 敦道親王との間の数ヶ月をつづったもの。
恋愛真っ最中の揺れうごく女心を描いたもので
現代の主観的・情緒的な恋愛小説が好きな方にお勧めです。
私は苦手ですが・・・
 
彼女の恋の遍歴は
最初の夫との間に娘(小式部内侍)をもうけた後、別れ
為尊親王と恋に落ち、彼が病死した後
その弟の敦道親王と共に暮らし一子をもうけ、
彼の死後、中宮彰子に仕え、その父道長の家来と結婚した、というもの。
 
パワフルですよねえ
非常にスキャンダラスに語られるのは
二人もの親王との恋ゆえでしょう。