仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「方丈記」 鴨長明  [鎌倉]

日本三大随筆の一つ
 
 
改めて読んでみたら
短い作品であることに驚きました。
 
そして、内容が 暗い・・・
ひたすら暗いんです。
 
 
有名な冒頭文で
    「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、
     かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。・・・・」
世の無常を語り、
その後には自分が体験した大災害の記述が続くのです。
大火事、竜巻、飢饉、大地震
人がたくさん亡くなった救いようのない話を書き並べています。
 
最後には現在の自分の草庵での暮らしぶりを記しています。
心温まるささやかなエピソードもあるのに
「こんなふうに自分の暮らしに愛着を持つことは悟りの妨げとなる」と
自己批判して終わっちゃいます。
 
 
短いので読むのは簡単ですが
はまると「この世に救いは何もない」ような気分になりそうなので
気持が落ち込んでいる時には避けた方がいいかもしれません。
 
 
 
 
私は、自分が生きていること自体に疑問を持つような思想は
生理的に受け付けないのですが、
当時の時代状況からこのような無常観が処世上必要だったのでしょうか。
 
現代日本も世紀末的状況だから、無常観を取り入れた方がいいのかもしれません。
「この世は仮の宿なのだから、住居に執着を持つことは無意味だ」と悟れれば
持ち家とか自家用車とか家財にこだわらなくなって、すがすがしくなれるかもしれません。