仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

国立能楽堂  8月公演 ‘素の魅力’

東京 千駄ヶ谷国立能楽堂に行ってきました。
劇場としてはこじんまりとした感じの建物ですが、
さすが趣のある和風建築で素敵でした。
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中庭をとりかこんでぐるりと建物が建っています。
室内のインテリアも、御簾や格子戸が使われていて日本の伝統を感じさせます。

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図書室や展示室も併設されていて、能楽について勉強することができます。
 
 
 
 
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◎素の魅力

狂言 呼声(よびこえ) 野村万作和泉流

仕舞  山姫(やまひめ) 家坂洋子=原作 豊嶋三千春

仕舞   本田光洋金春流

舞囃子 夢殿(ゆめどの) 友枝昭世喜多流

能舞  水の曲(みずのきょく) 武満徹=作曲 観世銕之丞


 
 今回のプログラムは普通のお能の演目とは違った形式で
一つの場面の舞だけを行ったり、装束ではなく袴姿での狂言だったりと
いうものでした。
 
お能は総合芸術で、ストーリー、舞、音楽(謡)、装束、面などなど見所満載で
いっぺんに理解するのは無理なので
こういうパーツごとの舞台は勉強になりました。
一つのプログラムが短いので居眠りしなくて済みますし
 
装束ではなく袴姿なので、体の線がわかるので
普段は見えない体の動かし方がわかっておもしろかったです。
 
この会場はすべての席に字幕画面がついているのも
わかりやすかったです
 
 
 
一番印象に残ったのは最後の「水の曲」です。
武満徹氏がお能のために作曲した曲での舞でした。
 
普通の仕舞とは違って不思議な空間がひろがっていました。
会場が真っ暗になり、明るいのは舞台一番前にあたるスポットライトだけ。
ライトは何か置物のようなものを照らしています。
(それは泉を表していたようです)
 
いつの間に観世氏が舞台に登場していました。
面をつけ、浅葱色の無地の装束を身につけていました。
舞台に役者一人しかいないのはヘンな感じです。
演奏は(たぶん)録音で、水滴の音を主旋律として、笛や太鼓の音が重なっていくという
不思議な曲でした。
 
観世氏は無言で舞い続けていきます。
表しているのは水の流れ、だったと思うのですが。
舞の仕草も普通のものとは少し違っていたように思います。
 
電子音やライトという機器を使いながらも
演じられているのはあくまで能舞、という興味深い舞台でした。
 
昔ながらのスタイルを守るのも大事ですが
それだけでなくその時代の文化も取り入れていくのが
芸術の生命を保っていくためには大切なんだなあと思いました。
専門家がどう評価されるのかはわからないのですが。
 
 
 
 
 
観客は着物率が高かったです。
私も着物で観劇してみたいものです。