仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「桜の園」   チェーホフ   [ロシア]

小説ではなく、戯曲(演劇の脚本)
古典的名作。
 
 主人公は没落貴族の一家。女主人やその娘たち、そして使用人や周辺の人々が登場人物。
 社会状況の変化に対応することができず、
 領地を手放し、先のわからない生活に入る所までを描く。
 
太宰治の「斜陽」を思い出すストーリー
 
 
戯曲なので、小説とは違う頭の使い方をしなければなりません。
文章は会話だけでなりたっていて、舞台背景や登場人物の説明は
最初のところにしか書いてません。
 
読みながら何度、冒頭の人物表を見直したことか
しかもややこしいロシア人名ですから。
 
 
時代の変革期で、社会階層がひっくりかえりそうになっていて
それぞれの立場ゆえの複雑な心理などが興味深いのですが、
戯曲の形式について行くのが大変で
なかなか読み味わえませんでした。
やっぱり戯曲は劇で見た方がいいかなあ
 
印象に残ったのは、商人ロパーヒン。
主人公一家に恩を受け、没落していく彼女らを助けようと働いていたが
結局、自分で領地を買い上げてしまったという屈折ぶりが痛いです。
 
 
 
 
 
以前からシェイクスピアを読み返したいと思いつつ
戯曲形式の敷居が高くて諦めていましたが、
頑張ってみようかな。
(大人向けで)小説形式に書き直している本なんてないのかしら。