仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「ハムレット」  シェイクスピア  [イギリス]

いくつものセリフが慣用句になっているほどの名作。
 
「生か、死か、それが問題だ。」
「尼寺へ行け」
など、物語の中で改めて目にすると、「おおっ」と思いました。
 
 
ハムレットといえば、マザコンの軟弱王子様というイメージでしたが
やっぱりそうでした
 
冒頭から不機嫌な王子様ですが、その理由は
母親が父王の死から一ヶ月で父の弟と再婚したこと。
 
「いそいそと不義の床に駆けつける、そのあさましさ!」とか
他の作品でもそうですが、女性(の不身持ち)をののしるセリフが
なかなか露骨で辛辣なので、のけぞります。
父王が弟に毒殺されたことを知るのはその後ですから、
ハムレット君は、母の再婚のためだけで激怒している訳です。
 
そのために、恋していたオフィーリアに向かって「尼寺へ行け=結婚するな」
と暴言を吐くほどの女性不信に陥るのですから重傷ですよね~。
 
ハムレットの狂気は、どこまでが本当でどこまでが復讐のための計略
なのかよくわからないのですが、
このセリフに関しては本気な気がします。
 
父王(この人もハムレット)の亡霊と話したことから、毒殺という真実を知る訳ですが、
亡霊の言葉を鵜呑みにはせず、確かめるために弟王に罠を仕掛ける辺りは
さえています。
 
 
 
オフィーリアは、恋のために心と命を失った悲劇のお姫さまというイメージでしたが、
読んでみたら首をかしげてしまいました。
 
まず冒頭で、父や兄に「ハムレット王子とは身分違いだから、これ以上関係をもたないように」
と言われるとおとなしく従うし。
それでいて、父がハムレットをはめるためにオフィーリアに接近するように言うと
これまた従うし。
 
気が狂ってしまうのも、父が殺された後だから
恋のためじゃなくて、父の死のためじゃないのかなあ?
ハムレットのせいには違いないんだけど。
 
まあ、そんなこといちいちつっこますに、かの名場面=花環とともに水に流されて死ぬ
の美しさを堪能すべきなのでしょう。
 
ところで、キリスト教では自殺を禁止しているから
まともに葬式も出してもらえないんですねえ。
 
 
最期の場面では
ハムレットも、オフィーリアの兄レイアーティーズも、母妃も弟王も
みな死んでしまいます。
まさに大悲劇。
 
 
シェイクスピア作品は、ストーリーや舞台が時代がかっていても
そこに描き出された人間性に現代にも通じる普遍的価値がある訳ですが
ハムレット」では、それは何だろうと考えてみました。
  答え:尾崎豊的 青少年期特有の過剰な自意識
 
 
 
ハムレットを演じる役者さんは大変なことと思います。
なにしろセリフが長い!!