仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「土を喰う日々」 水上勉  [新潮文庫]

「我が精進十二ヶ月」という副題
少年時代を京都の禅寺で過ごした作者の料理エッセイ
 
軽井沢の自然豊かな土地に一人住む筆者が
自宅の畑で取れる野菜を中心に毎日の食事を整えています。
その日々の様子を一ヶ月ごとの12章で一年間通して描いています。
 
 
筆者の調理法は、少年時代に禅寺で身につけた教えが元になっています。
だから料理は、家事雑事や仕事ではなく、人生、生きることそのものというような位置づけです。
 
「精進料理」は、一般的には「肉を使わない料理」という解釈をされていますが、
そもそもの「精進」の意味を考えればそんなに浅い意味ではないですよね。
 
筆者の回顧談に、禅寺での教育法(とは言わないのでしょうけど)がかいま見えて興味深いです。
食べ物や生命に対して謙虚に向き合う姿勢に、頭が下がる思いがしました。
 
 
 
このような生活を今自分が実際に送ることは無理なのですが、
老後には取り入れられるといいなあ。
食べ物を大切にする気持ちは、いつでも持っていたいですね。