仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「イスラームを知ろう」 清水芳見 [岩波ジュニア新書]

イスラムのことを知りたくて、入門書を探しました。
わかりやすく概容をまとめてあるものということで、この本を選びました。
 
「ジュニア新書」ですから青少年向けなのですが
かみくだいて説明してあるので、わかりやすかったです。
知らない難しい分野を読みたい時は、ジュニア新書いいなあ、と思いました。
 
大人向けの新書としては
イスラームの日常世界」  片倉もとこ   [岩波新書
がよかったです。
 
ジュニア新書で概容をつかみ、その次にこの本でもっと細かく知識を得るという順番が
いいのではないかと思います。
 
 
 
 
イスラームを知ろう」では、写真がわりと多く載っていたので、イメージがしやすかったです。
何しろ語彙自体、知らないものが多いですから。
一日5回行うという礼拝のやり方
良い運動にもなるそうで、やってみたいけど
おもしろ半分にやってはいけないのでしょうね。
 
世界のムスリムイスラム教徒)人口分布図
色が濃いほど多い地域
 

                         マッカ(メッカ)巡礼の中の儀式の一つ。
                         ものすごい人の多さです。
                         真ん中の柱に小石を投げるんだそうです。
 
            
二冊読んでみて
未知の世界だったイスラーム(‘イスラム教’ではなく)のイメージが
おおまかですが、つかめてきました。
 
キリスト教や仏教に比較して大きく違う所は
信仰が、個人の精神面に限らず、日常生活の行動までを規定するということです。
私たちが持っている「宗教」という概念とは違います。
 
実際、イスラームは宗教よりもっと広い枠(文化共同体など)としてとらえるべき
という考え方もあるそうです。
 
 
毎日の生活の中での規定がいろいろあって(一日5回の礼拝など)大変そうと思いますが、
意外とアバウトだったりもするようです。
「必ずしなければならない」ではなく「なるべくしましょう」の項目も多かったり。
実際どの程度徹底されているかは国によってちがうようです。
 
 
それから日本人の価値観と大きく違うと思ったのは
「仕事・労働」のとらえ方です。
日本人は「勤労は美徳」という価値観を(まだ今のところ)持っていますが(と思う)
イスラーム的には仕事よりも余暇的な時間に一番価値があるようです。
この時間に何が含まれるのかはうまくまとめられませんが
私の印象では、仕事(公)よりも私(信仰、家族)を重んじるということなのかなと思いました。
 
   
印象的だったことの一つは、イスラーム聖典クルアーンコーラン)は
翻訳禁止だということです。
元のアラビア語で、しかも朗誦(音読)するのが正しい読み方なのだそうです。
実際には日本でも訳されている本は出版されていますが、
それは翻訳ではなく「解釈」と称するそうです。
 キリスト教の聖書は、どんどん現地の言葉に翻訳されて
布教に用いられているのと対照的ですね。
 
 
 
 
いろいろ読んでみるにつれて興味が増してきて
楽しくなってきました。
 
 
イスラームを知ろう」の末尾の一文が心に残っています。
    「やはり、異文化理解なくして異文化尊重はありえないのです。」