仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

十一月の歌    ‘古今和歌集より’

秋の野に乱れてさける花の色の ちぐさに物を思ふころかな       つらゆき
 
ひとりして物を思へば 秋のよの稲葉のそよといふ人のなき        みつね
 
人を思ふ心は雁にあらねども  雲ゐにのみもなきわたるかな      ふかやぶ
 
秋風にかきなす琴のこゑにさへ はかなく人の恋しかるらむ       ただみね
 
長しとも思ひぞはてぬ むかしよりあふ人からの秋のよなれば      凡河内みつね
 
秋風に山のこの葉のうつろへば  人のこころもいかがとぞ思ふ     素性法師
 
ちぢの色にうつろふらめど知らなくに  心し秋のもみぢならねば       
 
吹きまよふ野風をさむみ 秋はぎのうつりもゆくか 人の心の       雲林院のみこ
 
人を思ふ心この葉にあらばこそ 風のまにまにちりもめだれめ    小野貞樹
 
つれなくもなくなり行く人の言の葉ぞ  秋よりさきのみみぢなりける    源宗干
 
もみぢ葉を風にまかせて見るよりもはかなきものは  命なりけり      大江千里
 
秋風にほころびぬらし 藤袴 つづりさせてふきりぎりす鳴く      在原むねやな