仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

‘世紀の日本画’展      東京都美術館   (上野)

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日本美術院再興100周年 記念の展覧会です。
教科書で見たことがあるような有名な絵がたくさんありました。
 
日本美術院は、明治31年 岡倉天心を中心に横山大観、下村観山、菱田春草などによって
開設された私立の美術団体です。
勤務していた官立の美術学校に反発して辞職して、開院したという成り立ち。
 
「在野の研究団体がその芸術活動を110余年にわたって継続した、世界的にも希有な例」だそうです。
 
 
 
 
近代からの日本画の歩みを知るには良い展覧会のようです。
 
 絵を見ることによって概括できることはもちろん
説明パネルによって理念、哲学といったことを学ぶこともできます。
 
以前から、どうして大昔の歴史上の人物を描くのかと疑問でしたが
「絵画には、同時代の思想が表されるべき」という考えがあるのだそうです。
 
ただなんとなく自分が興味がある題材を描くというものではないんですね。
文学に限らず、芸術は主義や信条を表現するためのものなんだなあ。
 
 
「風景画」と「山水画」の違いは
風景をそのまま写し取った絵か、思想など精神性を風景によって表現したものか
だそうです。
日本人は何事にも精神性を追究するのが好きなんですね。
たしかに日本の「風景画」の方にもそういう雰囲気が感じられます。
 
 
 
私の好きな速水御舟の絵もありました。
写生時代?のころの作品とのことで、それは対象を写実的に写し取らねばならないという
考え方だそうです。
つきつめて悩み苦しんでいた時期だそうで
何の道でも一流を極めるというのはすごいことなんだと思いました。
 
 
 
 
特に印象に残ったのは、小松均「雪の最上川
最上川の遠景を描いた絵でした。
壁一面を埋めたモノクロの特大画です。
 
最上川は作者の故郷だそうで、
そこにこめられた作者の「思い」が伝わってきました。
 
小松均氏の名前は初めて見たような気がします。
でもこの絵はもっと有名でもいいように思いました。
 
 
そう思うと「評価が高い」「有名」というのはどこで差がつくんだろうかと
ふと疑問に思いました。
 
近代日本洋画家で有名といえば
なんといっても東山魁夷ですが、
この方の絵が日本人みんなに好かれるという普遍性があるのはわかります。
そこまでたどりつくには、どういう経路が必要なんでしょうか。