クリスティ&ホームズ
久しぶりにミステリー祭りが開催されておりました。
アガサ・クリスティとシャーロック・ホームズを読み返したのです。
所感がいくつか。
一般的に探偵小説の代名詞といえば、ホームズです。
クリスティの方が作品数が多くトリックも複雑であるのに。
その理由は、クリスティは純粋にミステリーというより
人間(を描いた)小説であるからではないでしょうか。
それゆえに、子供向けではないですし。
おおざっぱに分けると
ホームズは少年向きで、クリスティは女性向きな感じ。
何度も読み返して楽しめるのは
クリスティなんですよね。
ホームズは少年漫画と同じで
ストーリーはダイナミックで一度読むには楽しめるけど
キャラクターの人物造形が浅いので何度も読み返さないです。
(だから少年男性漫画はコミックスを買わない)
クリスティは人物描写が深いので
トリックがわかっていても何度も読んで楽しめるのです。
女性ならではの目線もあるし。
男性読者はその辺りはどう受け取っているのでしょうか。
クリスティを読んでいると「怖~」と思うことがあります。
殺人やトリックが怖いということではなく。
たとえば、ポアロシリーズ最終作「カーテン」。
名探偵ポアロが死んでしまうのです。
ふつーヒーローは殺さないですよね。
そもそもポアロは、いちがいにヒーローとはいいがたい
人物描写をされてたりしますが。
しかも悪と戦って颯爽と倒れるんじゃなく
老衰し、よぼよぼでみじめったらしく死を迎えるんです。
(最後にフォローがあるけど)
自作を代表する大キャラクターに
こんな仕打ちをしてしまう所がシビアですよね。
ホームズを読んで思ったことは
「実はやおい向き?」
描かれるボーイズラブのことです。
ホームズとワトソンの関係性って
それに近いと気づいたのです。
もしかしてとっくにネタにされてるのかな。
ホームズがワトソンにたいしてツンデレだというのは
以前に記事にしたことがありますが
今回気になったのは
某短編でのホームズの述懐。
「あれはワトソンが結婚したばかりのことだった。
あの結婚は彼がした唯一の自分勝手な振る舞いだった。
とにかく僕はひとりぼっちだったのだ」
ワトソンが妻と(おそらく)死に別れた後、
また自分と同居するように
ホームズはお金を使って手を回してるし。
一見ワトソンの方がホームズを追っかけているように見えるけど
実は逆かも。
純粋なホームズ愛好家にはひんしゅくな
感想を持ってしまいました。