仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

本/フィクション:外国小説

クリスティ&ホームズ

久しぶりにミステリー祭りが開催されておりました。 アガサ・クリスティとシャーロック・ホームズを読み返したのです。 所感がいくつか。 一般的に探偵小説の代名詞といえば、ホームズです。 クリスティの方が作品数が多くトリックも複雑であるのに。 その理…

「ロング・グッドバイ」    レイモンド・チャンドラー  [アメリカ]

知る人ぞ知る、ハードボイルド小説の名作 私立探偵フィリップ・マーロウ シリーズ 有名なセリフがいくつかありますね。 作品を知らなくてもこちらだけ知っている方も多いのでは。 「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」…

「赤毛のアンへの旅」   松本侑子   [NHK出版]

「赤毛のアン」の舞台である、カナダ プリンスエドワード島を巡る紀行文 写真たっぷりで、アンの世界にひたれます 「アン」に登場した舞台あちこちの写真 本当に道(土)が赤いです。 アンのお部屋 乙女のアコガレです ダイアナの家 オーチャードスロープの…

「パディントン発4時50分」   アガサ・クリスティ

「ミス・マープル」シリーズの長編ミステリー とくに女性が楽しめる作品だと思います。 理由は、何人かの女性が活躍するからです。 事件の発端はマープルの友人の老婦人が殺人を目撃したことです。 その現場は走っている列車の中。 彼女は併走している隣の列…

「八十日間世界一周」 ジュール・ヴェルヌ   [フランス]

子供のころ好きだった本を、久しぶりに読み返してみました。 ヴェルヌは、「十五少年漂流記」などの冒険小説を多く書き、 「SFの父」と呼ばれた作家です。 主人公はロンドン在住の紳士フィリアス・フォッグ氏。 財産家の彼は毎日を「革新クラブ」で過ごす。…

「O・ヘンリー ミステリー傑作選」  河出文庫

「最後の一葉」という作品で有名な、20世紀初めのアメリカの作家です。 ミステリーまで書いている幅の広い作家だとは知りませんでした。 「犯罪」をテーマに選ばれた28編の短編収録のアンソロジーです。 アメリカーンなウィットの利いた、小粋な小品集と…

「鏡の国のアリス」  ルイス・キャロル [イギリス]

「不思議の国のアリス」の続編です。 さし絵はオリジナル本のジョン・テニエル。 日本では前作ほど有名ではありませんが、 キャラクターだけは、知っている方も多いと思います。 「不思議~」よりも複雑な構成で、内容も深い作品となっています。 「鏡~」は…

「ふしぎの国のアリス」 ルイス・キャロル [イギリス]

ファンタジー童話の古典中の古典です。 この物語のキャラクターの名前は慣用句的に使われるくらい有名です。 さし絵はジョン・テニエルです。 イギリスで最初に出版された時のさし絵で、日本人の感覚としてはかわいい絵柄ではないのですが、 やっぱりオリジ…

「アルジャーノンに花束を」  ダニエル・キイス  [アメリカ]

1966年に発表され、日本でもベストセラーとなったSF小説 主人公チャーリィ・ゴードンは32歳で6歳児並みの知的レベルである知的障害者。気質はごく善良で 向学心もある。彼は大学教授の研究の臨床実験の被験者となり手術を受ける。結果、彼の知能は 急…

「もう少し知りたい人のための『ソフィーの世界』哲学ガイド」 須田朗

NHK出版 発行 須田 朗氏は、「ソフィーの世界」日本語版の監修をされた方です。 「ソフィーの世界」を読んだ後、もう少しくわしく哲学のことが知りたいな と思っていたら、ちょうど良い本が出ていました 須田さんは「ソフィーの世界」の読者から送られてきた…

「ソフィーの世界」  ヨースタイン・ゴルデル [ノルウェー]

副題は「哲学者からの不思議な手紙」 NHK出版 発行 訳者は池田香代子氏 監修は 須田 朗氏 1991年に発表され、世界的なベストセラーとなった哲学史ファンタジー 「哲学の歴史を語る」ことと「ファンタジー」を両立させた画期的な物語です。 西洋哲学の入…

「ウは宇宙船のウ」 レイ・ブラッドベリ   [アメリカ]

作者自選の傑作短編集。16編収録。創元推理文庫より。 タイトル通り、宇宙にまつわる話が多いです。 名前は何度も聞いたことのある作家さんなのですが、読むのは初めてです。 “幻想と抒情のSF詩人”と解説にありましたが、 読んでみて「なるほど~」と思い…

「モルグ街の殺人事件」 エドガー・アラン・ポー [アメリカ]

新潮文庫、短編5編収録です。 「モルグ街の殺人事件」 推理小説の始まりの作品、 元祖探偵オーギュスト・デュパン氏が登場します。 デュパン氏の論理的な推理の過程を読んでいると なるほど、シャーロック・ホームズの先祖なんだな~ということがよく分かり…

「黒猫・黄金虫」 エドガー・アラン・ポー [アメリカ]

1800年代の人で、文学史上大きな役割のあった作家です。 「モルグ街の殺人」は推理小説の始まりと言われています。 ホラー、SF小説の世界にも影響を与えた人だそうです。 ポーを信奉する作家も多く、 日本の江戸川乱歩はこの作家から名前をとったそうで…

「風と共に去りぬ」    マーガレット・ミッチェル[アメリカ]

アメリカのマーガレット・ミッチェルの大河ロマン小説です。 舞台はアメリカ南部ジョージア州の大農園。 白人の農園主が黒人の奴隷を働かせている。 南北戦争開戦前夜から、物語は始まります。 主人公のスカーレット・オハラは大農園のお嬢様。 美人で気が強…

「シャーロック・ホームズの冒険」    コナン・ドイル[イギリス]

シリーズの第一短編集です。 私はこれが一番おもしろかったです。 「ボヘミアの醜聞」 ホームズにとって唯一の女性が登場します。 といっても恋愛ではありません。 「あのひと」という敬称をもって、ホームズはいつも呼んでいます。 この事件において、ホー…

「秘密機関」       アガサ・クリスティ[イギリス]

アガサ・クリスティのスパイ小説、「トミー・タペンス」シリーズ第一作です。 この話のキーパーソンは、なんといっても謎のブラウン氏でしょう。 恋愛方面の進展がスパイスになっています。 幼なじみの二人が障害にぶつかった時、初めてお互いの必要性に気付…

「恐怖の谷」      コナン・ドイル[イギリス]

「シャーロック・ホームズ」シリーズの長編第4作(最終作)です。 この話にも途中で犯人の回想シーンが入ります。 アメリカの、ある無法地帯の話で ハードボイルドな西部劇みたいで、怖い、怖い 宿敵モリアーティ教授が登場しますが 黒幕として手下を操って…

「四つの署名」       コナン・ドイル[イギリス]

シャーロック・ホームズシリーズの長編二作目です。 ワトソン君の恋物語です。 出会ったその日の晩に恋に落ちるとは、ロミオとジュリエットみたいですね 彼女と財宝に対するワトソンの態度に、英国人の誇り高さが感じられます。 ワトソンの結婚のため、ホー…

「カリブ海の秘密」        アガサ・クリスティ[イギリス]

アガサ・クリスティの「ミス・マープル」シリーズです。 犯人は推理上に挙がってなかった人物でした。 なぜ間違った方向に推理が向けられていたのか、 最後に鮮やかに解明されました。 続編「復讐の女神」と話がつながって、ほっとしました(^_^)

「そして誰もいなくなった」      アガサ・クリスティ[イギリス]

アガサ・クリスティの最高傑作とうたわれる作品です。 久しぶりに読みましたが、やっぱりすごいですね マザーグースの一編をモチーフにした一連の犯行は、 まさに芸術的犯罪と呼ぶにふさわしい。 島という孤立した舞台、詩の掲示、減っていく人形などが演出…

「シャーロック・ホームズ」短編集より②      コナン・ドイル[イギリス]

「ギリシャ語通訳」 ホームズ唯一の肉親、兄のマイクロフトが登場します。 ホームズを超えて浮世離れしていて、 またホームズに劣らない頭脳を持っている人物です。 両親はどこにも登場しないのですが、 こんな兄弟の両親ってどんな人なんでしょう?? マイ…

「シャーロック・ホームズ短編集」より①      コナン・ドイル[イギリス]

何冊か出ていますが、その中から印象に残った作品について。 「三人ガリデブ」 ガリデブって人名です。 日本語では響きがヘンだけど、イギリスでも珍しい名字のようです。 それがこの作品の謎の元です。 捕り物の時、犯人は抵抗して拳銃を撃ち、それがワトソ…

「緋色の研究」        コナン・ドイル[イギリス]

コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズ第一作です。 ワトソン君とのなれ初め(笑)がわかります。 犯人の回想シーンはロマン小説のようで迫力あります。 気骨あるお父さんと、愛する女性の復讐に生涯をささげた 情熱的な恋人がかっこいいです …

「復讐の女神」       アガサ・クリスティ[イギリス]

アガサ・クリスティのミス・マープルシリーズです。 「カリブ海の秘密」の続編にあたり、実際の執筆順序でいうとシリーズ最期だそうです。 死者の遺言による依頼、 しかも事件の内容は不明(犯罪ではあるらしい)。 何が依頼の目的なのか、どうやって探索す…

「砂に書かれた三角形」      アガサ・クリスティ[イギリス]

アガサ・クリスティの短編集です。 ミス・マープル、ポアロ、パーカー・パインなどの 探偵が登場するアラカルトです。 お金持ちの家の執事が、主人の部屋に入る前にノックをすると ポアロが「優秀な執事なら決してしないはず。」 と驚くのですが、執事はノッ…

「ゴルフ場殺人事件」       アガサ・クリスティ[イギリス]

アガサ・クリスティの「エルキュール・ポアロ」シリーズ第二作。 助手役のヘイスティングズが奥さんのシンデレラと出会う話です。 ヘイスティングズ君はつくづく“愛すべきおバカさん“なのね~ シンデレラちゃんが人命救助のため、窓から飛び込むシーンはかっ…

「バスカヴィルの魔犬」           コナン・ドイル[イギリス]

シャーロック・ホームズシリーズの長編中で NO1と呼ばれる秀作です。 イギリスの、ダートムア(荒野)と呼ばれる地方の 旧家が舞台の、ややオカルトがかったお話。 推理の筋立ても、もちろんおもしろいですが、 文章もお薦めです。 推理小説というより文学…

「シャーロック・ホームズの帰還」       コナン・ドイル[イギリス]

推理小説つながりで、元祖名探偵、 コナン・ドイル作の「シャーロック・ホームズ」シリーズが読みたくなりました。 最初に読んだのは小学校か中学校の図書館なので、 なんとなく郷愁のような気持ちがよみがえります。 最初の一冊をどれにしようか考えて「・…

「ゼロ時間へ」          アガサ・クリスティ[イギリス]

アガサ・クリスティ作品です。 当時作者が通常のミステリーとは異なる、新しい趣向に挑戦したという作品です。 ラストがちょっと唐突かな~という気がします。