仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

八月の歌 ‘万葉集より’

夏の野の 繁みに咲けり 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものぞ      大伴坂上郎女

八百日(やほか)行く 浜の真砂(まなご)も 我が恋にあにまさらじか 沖つ島守       笠郎女

夏野行く 牡鹿の角の 束の間も 妹が心を 忘れて思へや        柿本人麻呂

朝寝髪 われはけづらじ 愛(うつく)しき君が 手枕触れてしものを    

あかねさす 紫野行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る       額田王

紫草(むらさき)の にほへる妹を 憎くあらば 人妻故に 我恋ひめやも       大海人皇子

来むと言ふも 来ぬ時あるを 来じと言ふを 来むとは待たじ 来じと言ふものを        大伴坂上郎女

まゆらに 昨日夕(ゆふへ)見しものを 今日(けふ)の朝(あした)に 恋ふべきものか

見れど飽かぬ 吉野の川の 常滑の 絶ゆることなくまたかへり見む      柿本人麻呂