仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「幸田文」   [ちくま日本文学全集文庫]

明治の作家幸田露伴の娘  幸田文

この方の随筆は今まで何冊か読みました。
露伴の子供への教育のエピソードが好きです。


しかし、改めてまとめて読んでみると
「重~い


結婚10年にして離婚して一人娘を連れて
父の元に帰っています。

この方の言い分では
ご主人がいい加減で生活力がないせいで、
という話ですが(事実でしょうけど)、
作品をいろいろ読んでいると
「いや、こんな女房じゃ離婚したくもなるよ・・・」
とちょっと同情。

頑固で物事を突き詰めすぎるというか。



一番「怖~」と思った作品は
「姦声」

結婚時の文氏の家庭に
出入りしていた業者の男が
やたらと訪れ色目を使ってきます。

とうとう強姦されかかるのですが
その一部始終を詳細に綴っているんですよ~。
「着物の袖が脱げかかり、肌にあたる床の感触が・・・(すみません適当に例を挙げましたが)」とか。

非常事態の最中に冷静に自分を観察していて
それを文章化し発表するという。

未遂で終わるとはいえ
今の時代でもそんな経験を公表したがる女性は
なかなかいない。
ましてや昭和ですから。

やっぱり作家のパーソナリティは
一般人とは違うということでしょうか。


もう一つ、怖かったのは
その時、家の中に使用人の女の子が
いたにも関わらず何もしてくれなかったと
いうことです。