仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

#ノンフィクション、エッセイ

「羽生善治 闘う頭脳」           (文春文庫)

将棋の羽生善治7~1冠 についての文章を集めた一冊 対談、インタビュー、ルポルタージュなど、さまざまな立場の人から見た 羽生善治像が読み取れます。 藤井四段の活躍により将棋への興味が高まっています。 羽生フィーバー以来の将棋熱です。 藤井君につ…

「幸田文」   [ちくま日本文学全集文庫]

明治の作家幸田露伴の娘 幸田文 この方の随筆は今まで何冊か読みました。 父露伴の子供への教育のエピソードが好きです。 しかし、改めてまとめて読んでみると 「重~い」 結婚10年にして離婚して一人娘を連れて 父の元に帰っています。 この方の言い分で…

「寺田寅彦」     ちくま日本文学全集文庫

寺田寅彦は明治の物理学者で、優れた随筆を多く書いた。 夏目漱石の弟子筋。 随筆の内容はさまざまで 専門の科学分野もありますが 文学関連や日常生活における所感など 興味深い文章がいろいろあります。 夏目漱石の講演録などもそうなのですが 明治時代であ…

「柳田國男」   ちくま日本文学全集文庫

民俗学の第一人者 柳田國男 多くの文章を遺していますが 有名なのは 「木綿以前のこと」「遠野物語」 現在、私たちにもっとも身近な布地といえば木綿ですが 意外と歴史は古くない。 麻と絹の方が古いんです。 それでも今は木綿が一番ということは それだけの…

「内田百閒」    ちくま日本文学全集文庫

筑摩書房の文庫シリーズ 「ちくま日本文学全集」 全50巻 日本の近代の著名な作家が手軽に読める良書です。 読破は無理だけど できるだけ読んでみたいです。 大学では日本近代文学専攻でしたが 社会人になってからはあまり読まなくなっていたので 久しぶり…

「できることから」     小堀貴美子   [講談社]

副題は「遠州茶道宗家、ゆっくり奥様修行」 著者は、遠州茶道 宗家 十三世家元 夫人 遠州茶道は、江戸時代の大名茶人 小堀遠州を祖とする流派です。 小堀に嫁ぐことになったいきさつから始まり 十八年の結婚生活の中での家元夫人修行についてつづられていま…

「あなたにありがとう。」  松浦弥太郎  [PHP文庫]

副題は「暮らしのなかの工夫と発見ノート」 人付き合いの知恵を説く、といったような内容です。 著者は、雑誌「暮しの手帖」の編集長 「暮しの手帖」は主婦向けの家庭的な雑誌です。 素朴で元祖癒し系という雰囲気で和みます。 非常に良心的な記事内容で、 …

「能・文楽・歌舞伎」   ドナルド・キーン  [講談社学術文庫]

日本文化研究家ドナルド・キーン氏が、日本の伝統的な演劇について 書いた文章をまとめた一冊 東日本大震災後の日本国籍取得以来、 キーン氏は尊敬する人物の一人になりました。 著作をいろいろ読んでみるつもりです。 自国の文化を知るためには、 外国の方…

「バカの壁」 養老猛司   [新潮新書]

しばらく前にベストセラーになったノンフィクション 表紙の紹介文より イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人はなぜ互いに話が通じないのか。そこに「バカの壁」 が立ちはだかっているからである。いつの間にか私たちは様々な「壁」に囲…

「ファッション-蝶は国境をこえる-」  森英恵  [岩波新書]

ファッションデザイナーの森英恵(モリハナエ)さんが書いた半生記 日本のデザイナーの先駆けでいらっしゃるのは知っていましたが 東洋人初のパリ・オートクチュール組合加入デザイナーだったなど 文字通り、第一人者だったんですね。 今ではパリやミラノの…

「女は見た目が10割」  鈴木由加里   [平凡社新書]

副題は「だれのために化粧をするのか」 タイトルを見て「むかっ」 っとくる方もいると思いますが これは逆説的につけられたもので 論旨とは異なります。 むかっとくる方にこそ、お勧めしたいです。 筆者は、現代文化論が専門の大学講師の女性。 文章は、学究…

「ラブ・スマート」   フィル・マグロー  [三笠書房]

副題は、 100万人の女性を幸せな結婚に導いた「こころの引き寄せ」ルール アメリカの有名心理学者の全米ベストセラー本だそうです。 一昔前にベストセラーになった「地図の読めない女 話の聞けない男」系の内容。 心理学はアメリカが最先端なので、本もア…

「学校って何だろう」  刈谷剛彦  [ちくま文庫]

副題は「教育の社会学入門」 もともとは「毎日中学生新聞」に連載されていた文章です。 当時の編集長 横田一氏の 「あなたは自分のやっている学問を、中学生にわかるように書けますか?」 という問いかけがきっかけで始まったそうです。 日本人にとっては「…

「下流志向」 内田樹   [講談社文庫]

副題は、「学ばない子どもたち 働かない若者たち」 数年前に話題になった本です。 裏表紙の紹介文より なぜ日本の子どもたちは勉強を、若者は仕事をしなくなったのか。だれもが目を背けたいこの事実を、 真っ向から受け止めて、鮮やかに解き明かす怪書。「自…

「イスラームを知ろう」 清水芳見 [岩波ジュニア新書]

イスラムのことを知りたくて、入門書を探しました。 わかりやすく概容をまとめてあるものということで、この本を選びました。 「ジュニア新書」ですから青少年向けなのですが かみくだいて説明してあるので、わかりやすかったです。 知らない難しい分野を読…

「西原理恵子の‘あなたがいたから’  運命の人 鴨志田穣」

NHK「こころの遺伝子」ベストセレクション シリーズ シリーズとして、主婦と生活社から出ています。 NHKのテレビ番組を書籍化したものです。 漫画家 西原理恵子さんが 亡夫 鴨志田穣さんとの出会いと別れについて 語ったドキュメント番組でした。 鴨志田氏は…

「父の詫び状」   向田邦子  [文春文庫]

テレビドラマの脚本家として高名な故 向田邦子氏の第一エッセイ。 数あるエッセイの中でも名作として評価されているそうです。 昭和の初めから終わりを生きた筆者の文から 昭和の日本の生活の匂いが感じられます。 古き良き日本の家庭像をしのぶことができま…

「文章読本さん江」  斎藤美奈子   [筑摩書房]

世に無数に出ている「文章読本」を概括し批評した本 (文章読本は、プロの文筆業者が素人向けに書いた文章指南書のこと) エッセイ風な語り口ですらすら読めます。 裏表紙のコピーに「斬捨御免あそばせ!」という通り、 既成の権威を斬りまくってる痛快な一…

「なぜ、その人に惹かれてしまうのか?」   森川友義

副題は「ヒトとしての恋愛学入門」 出版社は 株式会社ディスカバー・トゥエンティワン 「恋愛」を学問として、科学的に分析した書です。 筆者は政治学専門の大学教授。 畑違いのようですが、関連性があるんだそうです。 「はじめに」から引用します。 この本…

「延長戦に入りました」 奥田英朗  [幻冬舎]

奥田英朗のスポーツ・エッセイ集 奥田氏のエッセイですから、スポーツ物といっても さわやかな感動を語るような内容ではなく スポーツ観戦や参加にまつわるエピソードをななめから語ったお笑いネタ。 筆者の毒舌全開って感じです。 筆者の日常生活における優…

「お茶席の冒険」  有吉玉青   [講談社]

ご自身の茶道体験をつづったエッセイ集 藪内流(やぶのうちりゅう)を長くされているそうです。 筆者は有吉佐和子さんの娘さんなので、 さぞかし芸術に造詣の深い方かと思っていたら、そんなこともないようで ドタバタ茶道ぶりにとても親近感を持ちました 着…

「少女コレクション序説」 澁澤龍彦   [中公文庫]

澁澤龍彦氏はマルキ・ド・サドの研究で有名な文学者です。 タイトルと、女の子のマネキン人形の写真の表紙が いかにもイカガワシげな雰囲気をかもしだしていて、思わず手に取ってしまいました。 この本は、特殊な性嗜好各種について学問的に論じている とい…

「戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法」   [合同出版]

有史以来、地球上で人間同士の争いが絶えたことはありません。 これは人間の「業」というものでしょうか。 しかし、もはやそんなふうにあきらめている場合ではありません。 すでに地球は壊れかかっているし、現在地球上に存在する核兵器は地球を何十回も 破…

「私の個人主義」 夏目漱石

講談社学術文庫で、400円です。 夏目漱石は、講演も名人だったそうです。 この本は5つの講演を収録してあります。 ① 道楽と職業 ②現代日本の開花 ③中身と形式 ④ 文芸と道徳 ⑤ 私の個人主義 100年も前の講演でありながら、現代にも立派に通用する論説…

「すべては尊天にまします」 信楽貞雄   [くらま山業書]

これは京都の鞍馬寺で手に入れた本です。 本屋さんには置いてないと思います 「源氏物語」で、源氏が初めて紫の上と出会った北山は 鞍馬山だと想定されているそうです。 私は特別信仰心は持っていませんが、 昔から寺社仏閣が好きで、年の割にはたくさんお参…

「蜜柑」  芥川龍之介

「やっぱり芥川は天才だなあ」 と思いました。 文章が素晴らしいですよね ため息がでてしまいます。 何気ない日常の一コマを鋭く観察し、 高度な文章力で芸術的な一編にまとめあげています。 これだけ高度な頭脳労働をしている人は 長生きはできないんだろう…