仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

十月の歌   ‘万葉集より’

秋の野の み草刈り葺き宿れりし 宇治の宮処の 仮蘆し思ほゆ      額田王

三輪山を しかも隠すか 雲だにも心あらなも 隠さふべしや     額田王

君待つと 我が恋ひ居れば 我がやどの 簾動かし秋の風吹く     額田王
風をだに 恋ふるは羨し 風をだに 来むとし待たば 何か嘆かむ    鏡王女

妹が家も 継ぎて見ましを 大和なる 大島の嶺に 家もあらましを     天智天皇
秋山の 木の下隠り行く水の 我れこそ増さめ 思ほすよりは    鏡王女

いにしへに 恋ふる鳥かも 弓弦葉の 御井の上より 鳴き渡り行く      弓削皇子
いにしへに 恋ふらむ鳥は ほととぎす けだしや鳴きし 我が恋ふるごと     額田王

恋ひ死なば 恋ひも死ねとか 我妹子が 我家の門を 過ぎて行くらむ        

解き衣の 恋ひ乱れつつ 浮き真砂 生きても我れは ありわたるかも