「大佛次郎」 [ちくま日本文学全集文庫]
昭和の大衆小説作家として有名。
鎌倉縁の作家なので名前は知っていましたが
読むのは初めてでした。
代表作「鞍馬天狗」が幕末の小説だとは知りませんでした。
大人向けの小説で「ですます体」というのはびっくりしました。
「幻燈」は明治維新後の
旧武士階級の心理が描かれているのが興味深かったです。
とは何か
ということは、おりにふれ考えることのあるテーマです。
一つ答えが見つかった気がするのは
「普遍性」「不易流行」
「文学」に描かれている主題は普遍性があるので
時代が変わっても古くさくならない、読んでおもしろい。
「小説」は時代や風俗の中におもしろさがあるので
同時代の読者でなければ楽しめない。
時代風俗を描いていて悪いということはないのですが
それを超える普遍的な主題が含まれていないと
文学とはいえないのではないでしょうか。
文学より小説が低俗で価値がない
というつもりはありませんが
役割が違うと思います。
自分も文学に挑めるのは
コンディションの良い時だけで
疲れていて娯楽が必要な時は
小説を求めます。
一番疲れてる時はマンガだし。