仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

十一月の歌     ‘万葉集より’

岩代の 浜松が枝を引き結び ま幸くあらば また帰り見む    有間皇子

家にあれば けに盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る      有間皇子

山吹の 立ちそよひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく      高市皇子

我が背子を 大和へ遣ると さ夜更けて 暁露に 我が立ち濡れし      大伯皇女

百伝ふ 磐余の池に 鳴く鴨を 今日のみ見てや 雲隠りなむ       大津皇子

うつそみの 人にある我れや 明日よりは 二上山を 弟背とわが見む    大伯皇女

降る雪は あはにな降りそ 吉隠の 猪養の岡の 寒からまくに      穂積皇子

秋山の 黄葉を茂み 惑いぬる 妹を求めむ 山道知らずも         柿本人麻呂

今よりは 秋風寒く 吹きなむを いかにかひとり 長き夜を寝む       大伴家持

秋さらば 見つつ偲へと 妹が植ゑし やどのなでしこ 咲きにけるかも      大伴家持

幸はひの いかなる人か 黒髪の 白くなるまで 妹が声を聞く