仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

十二月の歌  ‘万葉集より’

来むと言ふも 来ぬ時あるを 来じと言ふを 来むとは待たじ 来じと言ふものを    大伴坂上郎女

石見のや 高角山の 木の間より 我れ降る袖を 妹見つらむか    柿本人麻呂
 
小竹の葉は み山もさやにさやげども 我れは妹思ふ 別れ来むれば   柿本人麻呂

大和道は 雲隠りたり しかれども 我が降る袖を なめしと思ふな    大伴旅人

ますらをと 思へる我れや 水茎の 水城の上に 涙拭はむ      大伴旅人

君が行く 道の長手を 繰り畳ね 焼き滅ぼさむ 天の火もがも    狭野弟上娘子
 

我が袖に 霰た走る 巻き隠し 消たずてあらむ 妹が見むため

我が袖に 降りつる雪も 流れ行きて 妹が手本に い行き触れぬか

新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事      大伴家持