「開高健」 [ちくま日本文学全集文庫]
印象を、一言で言うと「男性的」
男性の作家の作品なら、イコール男性的というものではなくて
この方のパーソナリティがそういう特性なのでしょう。
ベトナムの戦場を取材したり、
活動的な方だったそうです。
戦地を取材して実状を世界に伝えるという仕事は
意義深いですが、
そういう仕事に就くのはどういう方なのかと思います。
ごく普通の平凡な人生を歩んではいないんだろうなあ。
釣りにまつわる文章も載っていますが
釣りも男性っぽい趣味ですよね~。
女性はあんまりやりません。
なぜかな。
この本には載っていない
芥川賞受賞作の「裸の王様」。
私は高校三年生の時
模試で出会いました。
国語の問題になってたんです。
クライマックスの
少年の描いた「裸の王様」の絵には
ちょんまげ、ふんどし姿の殿がお堀端を歩いていた
というシーンで
私は笑いたくてたまりませんでした。
でも、周りはみな真剣に問題を解いているので(当たり前)
必死でこらえました。
「みんな、笑わないんだ、すげぇ」と思いながら。
この本収録の作品では「流亡記」が
印象に残りました。
古代中国の、
秦の始皇帝が中国を統一する手前から死ぬまでの時代を
地方の一市民からの視点で描いたものです。
戦乱の、苛酷な時代を冷徹な視点で見据えていて
圧倒されます。
自分にはない価値観の人物が描いた作品なんだなあ
と感じました。