「木山捷平」 [ちくま日本文学全集文庫]
初めて名前を知る作家でしたが、けっこう良かったです。
「おじいさんの綴り方」
中 勘助の「銀の匙」を連想しました。
「銀の匙」が町方の少年視点だとしたら
これは、山あいの村のおじいさん視点というか。
まんが日本昔話的ほのぼの感があります。
俳句が数十句載っていましたが
興味を持ちました。
私は、現代俳句にはあまり興味をもてなくて
この全集でも俳句も収録されている本はありますが
大体読み飛ばしています。
でもこの作家の俳句は何かいいです。
俳句らしい俳句というか。
俳句の王道的雰囲気があると思うんですよね。
何だろう、哀愁とか枯淡とかそういうのかな。
元旦や日記の下書したりけり
兄弟三人朝のかまどに手を翳したり
孕みし雀陽の光あびて動かず
餅三つ火鉢にふくれしまま深夜
蝶々が峠越えゆく真昼時
夏帯をしめて白髪をぬきにけり
新婚や葱二三本買ひてゆく