仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

七月の句   ‘与謝蕪村の俳句より’

明けやすき 夜や稲妻の 鞘走り

戚として 客の絶え間の ぼたん哉

みじか夜の 闇より出でて 大堰川

夕風や 青鷺の 脛をうつ

目にうれし 恋君の扇 真白なる

花いばら 故郷の路に 似たるかな

夜水とる 里人の声や 夏の月

蚊帳つりて 翠微作らん 家の内

夏山や 通ひなれたる 若狭人

夕立や 草葉をつかむ 村雀

白がねの 花さく井出の 垣根哉

こもり居て 雨うたがふや 蝸牛

谷路行 人は小さき 若葉哉

金屏の かくやくとして 牡丹哉

尼寺や よき蚊帳たるる 宵月夜

涼しさや 鐘をはなるる かねの声

かりそめに 小百合行けたり 谷の坊

恋さまざま 願ひの糸も 白きより