『はじめてのひと』 谷川史子 (集英社)
恋愛オムニバスシリーズ
大体、1話完結で登場人物が変わるのですが
一つだけ、何話か続いたシリーズが
2~3巻に載っています。
作者 谷川史子氏はベテラン少女マンガ家
社会的なベストセラー作はないけど
少女漫画界では安定した人気を保ち
文庫本のカバーなども多数手掛けている大物作家。
作家歴が長くなっても少女マンガ心を失わず
さわやか清らかな、乙女が胸キュンの作品を生み出し続ける稀有な作家さんです。
私はその作品を記憶しているのがヒソカに自慢。
しかし、この作品に限っては
いや~な読後感が残ってしまい。
美術館専門職勤務の25歳のくみちゃんの「はじめてのひと」は
16歳年上の音楽家。
恋に落ちた二人だが、実は彼には妻子がいて。
という不倫もの。
といっても谷川作品ですからドロドロせず
奥さんにばれて家庭崩壊する前に
二人は別れて、ステキな思い出を胸に元の生活を続ける、んですけど。
年齢的に彼の層の私は、心理が読める。
くみちゃんにとっては恋に落ちても無理のないシチュエーションなんですが、
妻子もちの40男が若い娘さんに、そんな接し方はしねーよ、良識があれば。
「気が付いたら恋に落ちていたんです」というのはくみちゃんだけがいえる言い訳。
男側はたんなるズルイ中年不倫おやじ。
また、くみちゃんが純粋でカワイイだけに腹が立つ、腹が立つ。
やっぱり谷川作品を心から楽しむには
乙女心をしっかり保ってないとダメですねえ。