仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「日本人と日本文化」  対談:ドナルドキーン・司馬遼太郎(中公文庫)

対談は50年くらい前に行われたものです。
文庫になっていて手軽に読めます。

外国に日本文学を広めた功績の大きいキーン氏と
司馬史観」という言葉を生んだ日本歴史小説の第一人者の司馬氏
のお二人による贅沢な対談です。

「日本人と日本文化に関心のある二人が偶然に出会い、雑談をした」
というコンセプトとのこと。




第一章:日本文化の誕生
第二章:空海と一休
第三章:金の世界・銀の世界-乱世の美学
第四章:日本人の戦争観
第五章:日本人のモラル-儒教をめぐって
第六章:日本にきた外国人
第七章:続・日本人のモラル
第八章:江戸の文化
            という構成です。



私も「日本人と日本文化に関心のある者」の端くれですので
両巨頭の見解には、感銘を受けるものがたくさんありました。


・外国からどう見られるかを非常に気にするのは
明治の開国の鹿鳴館に始まったことではなく、奈良の都建設からそうであった。

・日本人の宗教観、仏教や儒教の需要について
司馬氏「日本人はやっぱり神道である。(ただし国家神道ではなく、原初的な神道)」
というのはまったく同感です。

・宗教観(道徳観)があいまいであるのに、社会の秩序が保たれているのは
「世間体」という価値観による。(「恥ずかしいことをするな」という強制力)

軍国主義的な「日本精神」は生まれたのは昭和に入ってからであり
日本古来の伝統な価値観ではない。