2019-03-17 三月の漢詩 おりおりのうた #詩 春望 杜甫 国破山河在 城春草木深 感時花濺涙 恨別鳥驚心 烽火連三月 家書抵萬金 白頭掻更短 渾欲不勝簪 くにやぶれて さんがあり しろはるにして そうもくふかし ときにかんじて はなにもなみだをそそぎ わかれをうらんで とりにもこころをおどろかす ほうか さんげつにつらなり かしょ ばんきんにあたる はくとうかいて さらにみじかし すべてしんに たえざらんとほっす 戦乱によって都長安は破壊しつくされたが、大自然の山や河は依然として変わらず、町は春を迎えて、草木が生い茂っている。 時世のありさまに悲しみを感じて、花を見ても涙を流し、家族との別れをつらく思っては、鳥の鳴き声を聞いてさえ、はっとして心が傷むのである。 うちつづく戦いののろしは三か月の長きにわたり、家族からの音信もとだえ、たまに来る便りは万金にも相当するほどに貴重なものに思われる。 心労のため白髪になった頭を掻けば一層薄くなり、まったく冠を止める簪もさすことができないほどである。