仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「シャーロック・ホームズ短編集」より①      コナン・ドイル[イギリス]

何冊か出ていますが、その中から印象に残った作品について。
 

「三人ガリデブ」

ガリデブって人名です。
日本語では響きがヘンだけど、イギリスでも珍しい名字のようです。
それがこの作品の謎の元です。
 
捕り物の時、犯人は抵抗して拳銃を撃ち、それがワトソンに当たります。
「ワトソン、大丈夫かたいしたケガじゃないといってくれ
冷静なホームズも動揺し、冷ややかな怒りを犯人にぶつけます。
全作品の中でも、ホームズのツンデレ度NO1の場面だと思います。
 
それにたいしてワトソン君は
「私の長年のホームズへの協力は、この瞬間のためにあったのだ
とホームズの内面にひそんでいた友愛に感動します。
ワトソン君って、ホントいい人ですねぇ
 
ホームズシリーズってある意味、男の友情物語ですね
 
 
 

高名な依頼人

貴族のお嬢様が、女たらしの極悪人にひっかけられ、財産目当ての結婚後殺されてしまうと
いう危険を阻止することを依頼されます。
ホームズに直接会いに来たのは代理人で、本当の依頼人はあまりにも高貴なお方のため
名前は出せないとのこと。
 
ホームズはご令嬢に面会し、その男の危険性を説きます。
しかし、男にすっかりたぶらかされているお嬢様は鼻もひっかけません。
「私だけがあの方を理解しているのです。」
お嬢様にありがちな自己陶酔ですね。
 態度があまりにタカビーでムカツくんで、「いっぺん殺されてみろ!」
と思ってしまいました
 
 
ホームズは解決のため、以前にその男にひっかけられぼろぼろにされた女を
探してきます。女は復讐心に燃え、何でも協力するといいます。
男はだました女のコレクションノートを作っており
それを盗み出すことに決めました。
案内役として女も連れて行くことに。
 
女のねらいは自分の復讐でした。
男の顔に硫酸をかけました。男の誇りであり悪事のタネである
みごとな美貌は無惨な姿に変わり果てました。
拳銃で撃ち殺すこともできたはずですが、
男にとって死以上のダメージを与える方法を選んだのでしょう。
女ってこわい・・・・。
 
最期に、代理人が乗ってきた馬車をヒントに
真の依頼人がだれか示されます。
そのシーンがスマートで、すてきです。
 
 
 

「ソア橋の怪事件」

世界経済界の大物である富豪の奥方が、家の近くで拳銃で撃たれて
死んでいるのが見つかった。容疑者は家庭教師の若い女性である。
依頼者は富豪自身。依頼内容は、「家庭教師の無実を証明してほしい。」
 
富豪は、傲岸不遜で自己中心的で品性下劣な人物である。
ブラジル人の妻をうとんじているが、妻の方は熱烈な愛情を持ち続けている。
家庭教師の女性は美しい容姿と高邁な精神をもっている。
 
富豪は女性に好意をもち言い寄った。女性は拒絶し、辞職を申し出るが留まる。
理由は、女性が持つ富豪への影響力を用いて、富豪の行動を変容させ社会に奉仕したい
と考えたからである。
 
 
女性が容疑をかけられるには物証が存在した。
しかしそれは全て妻の企みだった。
真相は自殺で、女性を犯人に仕立てることが狙いだった。
 
富豪と女性の間にはやましい関係はなかったのだが、
妻にとっては、精神的なつながりがあることは肉体関係同等に
許せないものだったのだろう、というホームズの分析。
女性心理の機微をついてるなあ。
 
 
富豪と女性の今後が気になりました。