「パーフェクト・ブルー」 宮部みゆき
現代ミステリー小説、初期の作品です。
諸岡克彦は、優れたピッチャーで高校野球界のスターだ。
その彼が殺された。
事件の解明に、蓮見探偵事務所の加代子たち、犬のマサ、
克彦の弟の進也がのりだしていく。
語り手は犬、という斬新なスタイルです。
マサは、元警察犬のジャーマン・シェパードで
蓮見探偵事務所に引き取られてからは
加代子の用心犬としてどこへでも同伴する。
物語はそのマサの目から語られます。
スターで優等生のエースの兄と、ちょっとはみ出し者の弟
でも二人は仲が良い。
この組み合わせは漫画「タッチ」を連想させますね。
進也くんは、高校にも行かず家をでてバイト生活をし
バイクを乗り回すような不良っぽい少年。
しかし、頭はまわるし愛嬌もあって、にくめないタイプ。
進也と事務所の面々とのやり取りは楽しめます。
進也のバイト先のマスターも過去がありそうでシブいです。
克彦の死には、大企業がからむ大きな謎が隠されています。
何人もが死ぬ陰鬱な筋書きであるにも関わらず
さわやかさをなくさないストーリーは
「少年系」が得意な宮部さんの本領が発揮されています。
青春熱血さわやかストーリーがお好きな方はいかがでしょうか。