「龍の子太郎」 松谷みよ子
児童文学の名作です。長編でストーリーに起伏があっておもしろいです。
昔テレビでやっていた「まんが日本昔ばなし」のオープニングの歌の冒頭で
龍に乗った太郎が出てきていました。
龍の子太郎は両親を亡くし、おばあさんと暮らしていました。太郎にはうろこの形をした不思議なあざが
あり、そのため龍の子太郎と呼ばれるようになったのです。ある時太郎は、母が龍になって生きている
かもしれないことを聞き、母を探す旅に出ます。
母子物って弱いですね。「母をたずねて三千里」もそうだけど
無条件で涙腺を刺激される感じです。
ストーリーもダイナミックでおもしろいです。
お母さんを探す旅の間にロールプレイングゲームのような出会いがあります。
天狗から大力をもらったり、赤鬼を空に投げて雷様にしてあげたり。
よくばりばあさんから稲を取り上げてしまう所は痛快です。
それぞれの出会いが最後のクライマックスシーンにつながっていきます。
ヒロインのあやちゃんもかわいいです。
笛が上手でやさしくて。
美少女が白い馬に乗って飛んでいくという絵柄はうっとりです。
太郎は男らしくて魅力的です。
豊かな村でごちそうをいただいている時、自分の村の貧しさを思い、
「ばあさまに米のむすびを食わしたい」と泣き出します。
母の龍に会えた時、龍になった理由を聞きます。
それはとてもせつないお話でした。
しかし、太郎は泣くのではなくいきどおります。
「貧しさが悪いのだ。」と。
貧しさを解消するために、太郎は母に頼んで
ともに働きます。みんなで力を合わせて山を崩すのです!
母は人間に戻り、太郎とあやは結婚し、ばあさまたちも呼び
みんなで幸せに暮らすようになりました。
大河物語で大人が読んでも読み応えあると思います。
松谷みよ子さんはすごい作家です!